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先生に促されて中へ入る。
プライベートな空間に踏み込んだみたいな気分になって、ドキドキしながら。
先生は小さな冷蔵庫からお茶を出して、キャップをキュッと捻る。
私はそれを遠慮しながら受け取って、そっと口に運んだ。
冷たいお茶が喉を落ちていく感覚に、火照っていた頭が落ち着いていく。
「いつもありがとう、宮里さん」
一息ついた私に、先生がお礼を言う。
「え……？何がですか？」
「その、いつも部を引っ張ってくれて」
「部長ですから……」
「そうなんだけどさ。
人の上に立つって時に嫌われ役もしないといけないし、嫌な思いもするでしょう？
俺、そういうの苦手でさ、つい避けちゃうの」
「はあ……平和主義ですもんね、先生」
「狡いよね、ごめん。君に頼ってばっかり」
先生がフフって笑う。
特徴のある声が耳にくすぐったい。
「君が部長で良かったよ。
初めてここに来て、いきなり吹奏楽部の顧問をやれって言われて、マジで逃げ出そうかと思ったけど」
「逃げ出そうと思ったの？」
「思った思った！
でも、宮里さんがいたから頑張れたんだ」
そういう言葉は、ちょっとヤバい。
今じゃなくて、引退するその日に言ってほしかった。
崩壊しそうな涙腺を必死で止める。
「ありがとう、宮里さん。
あと少しだけど、頑張ろうね」
鮮やかなブルーのベストを着た、先生のシルエットが滲む。
もうだめ。
泣き出した私に、先生が「どうしよう、泣かないで」って焦りだす。
罪な人だなあ。
私が泣くのも笑うのも、先生次第なんだよ？
オロオロする先生が可笑しくて、私は泣きながら笑った。
「何だよ」って子供みたいに口を尖らせる先生に、私は言った。
「先生、好きです」
先生は少しの間を置いてから、こう答えた。
「うん、ありがとう」
悲しかった。
先生はどうして先生なんだろう。
私が大人だったら、先生は私を相手にしてくれたかな。
それとも、例え私が大人でも先生の相手にはなり得なかった？
「先生にもし彼女がいなかったら、私にも可能性があった？」
「……ごめんね、宮里さん」
「それは私が、高校生だから？」
「うん……そうだね」
そういう時は、嘘でも違うよって言うんだよ、先生。
じゃないと、私みたいな馬鹿な女子高生は期待しちゃうんだよ。
もし自分が大人になったらって。
夏の夜風が先生の髪を揺らす。
私の世界には先生しかいないのに、先生の世界はそうじゃないことに絶望した、最後の夏だった。
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yuko(プロフ) - ﾅｵさん» ﾅｵちゃん、感想ありがとう♪潤くんが校門に立ってたらたとえ制服でも目立つよね…お話に無理があったかしら(笑)松本家と平野家はどっちもとんでもなくイケメン揃いだよ、その遺伝子がほしい！最後まで読んでくれてありがとう(* ´艸｀*) (2018年9月11日 23時) (
レス) id: 002ad326f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - みやわんこさん» みやわんこちゃん、感想ありがとう♪萌えポイント、たくさんあった？嬉しい！キンプリさんとのコラボ、全てはMUSIC DAYの愛なんだから始まったのです(笑)お気に召して貰えてよかった(*´∀｀*)向こうのお話も更新しますのでおつき合いお願いします☆ (2018年9月11日 23時) (レス) id: 002ad326f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪警備員と警察官って制服が被ってるからという単純な理由だけど、潤くんに刑事役やってほしいなあ〜と個人的に思ってる(笑)最後まで読んでくれてありがとう！楽しんで貰えたなら書いた甲斐があります(*‘∀‘) (2018年9月11日 23時) (レス) id: 002ad326f1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾅｵ(プロフ) - あんなイケメン警備員いたら女子全員気付くでしょ。少なくとも私は気付く！その自信しかない！イケメンでスマートな従兄ならそりゃ自慢よ。平野くんの松潤への憧れっぷりが花晴れの時みたい（笑）イケメン遺伝子がやばいイトコの家族と親戚、、普通に気になる…！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6a84b334f8 (このIDを非表示/違反報告)
みやわんこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！夏疾風からのキンプリさんコラボ、私の萌ポイントが随所に散りばめられていて、とってもワクワクしながら読ませて頂きました。私的には担当さんに最近の推しが絡んでた4つ目のお話がお気に入りです。連載中のお話も楽しみにしております！ (2018年9月1日 8時) (レス) id: aa6af869c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2018年8月1日 0時
