30回目。 ページ30
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昔から、嫌な予感ほどよく当たると聞く。
それを実感した最近の話。
私の好きな人は、直ぐに無理をする。
何度叱っても、何度止めても、心配しないで、と言いたげな顔をしていつも無茶をする。
それを知っていてか私の思考は、何だか常に冷静な訳では無い。
『緑谷少年がヒーロー殺しの事件に巻き込まれた』
それを聞いて翌日、保健医見習いという立場をいいことに学校を公欠にし、病院に向かう。
頭の中は彼のことしかない。
冷静になれ、と自己暗示をかけるも、昨日はちゃんと寝れていないし手の震えは増すしなんだか目も潤んできた気がする。
でも、これも嫌な予感があって、それが当たって、あぁまた無茶をしたんだなってちょっと呆れたところもあって。
そんなところも彼のいいところだなんて気がついたのもつい最近で。
『Aさんに迷惑かけちゃうね、』
なんていつか、彼が私に笑いかけながら言ったのを思い出して、胸がきゅっとなる。
…もし、いなくなってしまったら？
私がこの手で、助けられなくなったら?
ヒーロー殺しの存在を恨めば全て収まるはずなのに、私の脳内は不安が募った。
｢お連れ様がお待ちですよ｣
タクシーの運転手さんが指した先には
｢グラントリノさん…｣
父の教祖がいた。
グラントリノさんとは何度か対面したこともあり、父の訓練中にお守りをしてもらったこともあったらしい。
｢久しぶりだなあ、お嬢。
随分綺麗になったじゃないか｣
｢…こんなときにジョークなんて頼んでないです｣
少ししかめっ面で睨むと、よう言うなとグラントリノさんは笑う。私のことをお嬢と言うその呼び方、昔っからだ。
｢そうでもしないと、その顔で緑谷に会いに行くだろ？｣
窓に写った自分の顔が、酷く曇っていることに気付かされる。
だからってどうしろというのだ。
｢本当に、俊典に似てしまったな。そうやってすぐに人のことばかり気にするところなんか特にそうだ｣
この人はずっと、私のことを見透かしているようで…はっきり言って苦手だ。
でも、父が仕事で家を開けた時や夜に私が1人だった時、留守電を入れてくれたり好きな本を父に黙って仕送りしてくれていたのは、紛れもなくこの人なのだ。
｢緑谷は死んでいないぞ。俊典も、小僧も、何も言わず消えるような奴じゃない｣
なんたってあいつらは良くも悪くも頑固だからな、と笑ってみせた。
その言葉に、救われている私がいた。
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百合(プロフ) - オワリ...end......終..........ﾍｯ、おわり？？？？嘘でしょ...お気に入りして一生更新待ってます..... (12月16日 4時) (
レス) @page38 id: 587110230b (このIDを非表示/違反報告)
人未(プロフ) - 主人公さんが凄く魅力的で、緑谷くんとの関係も大好きです！ (2023年3月12日 22時) (レス) id: 7a0cc58a20 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - あのもう終始にやけているのですが、これは神の領域の小説ですね。ありがとうございます。 (2021年8月14日 3時) (レス) id: 56fe7289ff (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - え？？？神ですか？あ、神ですね！( ´∀`)ﾊﾊﾊ好きです（唐突な愛の告白←） (2021年7月7日 19時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 凄いきゅんきゅんするとこで終わってる！！めっちゃいい所で終わってて心臓がキュッってなりました！笑 オールマイトの「あの二人脈アリなんじゃないか」のセリフちょっと面白い()更新待ってます！ (2021年3月4日 0時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八尋 | 作成日時：2017年10月12日 21時
