探偵よ、私は短気なもんで。3

119話 ページ26

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どのタイミングで話題を切り出そうか。
まだ店内に客の多いこの時間では少し話しづらい。かといってこの店に客がいない時間を私は知らない。



ここは安室さんと連絡先を交換して、LINEでやり取りをしたほうが効率的なのでは…？と一瞬代替案が浮かんだが、今ここで連絡先を聞くなんてしたら後ろの奥方が黙っちゃいない。下手したら晒される。



つまりどっちを選ぶにしても、客がいない時間まで待たなくてはいけない。思ったより面倒な話になるな、とため息を吐いてしまった。







「……そういえばマイハニーはどこですか？」





食べ終わったにも関わらず居座り続けるのは不審がられると思い、梓さんに用がある風に話題を振る。夏休みシーズンということもあってか、客も多い気がする。




「梓さんはあなたのデザートのミルフィーユを切り分けてくれていますよ」

「え？」




ミルフィーユ。





「頼んだ覚えないんですが…」

「僕が頼みました！」

「でしょうね！！」







安室さんの一言で、背中にささる視線が鋭さを増す。こんなにもストレートに嫉妬の気持ちを表せる彼女たちを少し羨ましく思うほどだ。

今のままではただの迷惑客だぞ、なんて思うけど、安室さんは目立ってはいけないのが大前提。変に注意なんてしたら何をしでかすかわからないのが現状なんだろう。








「安室さん、何か言い残すことは？」

「僕の手料理を紗綾さんに食べていただきたかったのですが何か問題がありましたか？」

「爆ぜろ」





だから彼女たちには遠回しに興味がないと伝えるのが最適なわけで。了解はしたけど、私の苦労も考慮してほしいものだ。







「(表ではこんなにモテて良い男判定されてるのに…実際は安室透・バーボン・古谷零のトリプルフェイス。
沖矢さんには無理やり契約をこじつけられたけど、この人は日本を守るという義務感が強いから、邪魔となったら即排除してくるかもしれない)」









きっと今もポケットに持っているその拳銃で、だ。
その瞬間を想像するだけで…背筋が凍る。











彼はどんな目をするんだろう。
松田陣平の友人である私を、戸惑いと正義の葛藤で見るのだろうか。











それとも、憎悪と怒りに満ちた目で、












その引き金を引くのか。





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