探偵よ、私は短気なもんで。3

114話 ページ21

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「紗綾ちゃんがこんな時間に来るのは珍しいよね？大学はお休み？」

「15:00までは大学にいました。お昼まだ食べてないのでサンドイッチお願いします」

「今からお昼ですか？ずいぶん遅いんですね」



私が注文する前から何を頼むか予想していたのだろう、安室さんはテキパキと手元を動かしサンドイッチを作っている。
…ただ作っていれば良いものを、いちいちこちらの言葉に突っかかってくるから嫌なのだ。漫画を読んでいるだけだったあの頃はただベタ惚れ(松田が勝る)だったけど、実際に関わるとやはり印象が変わる。今のほうが人間味があって好きかもしれない。





「朝食が遅かったのでしゃーなしです」

「不定期に食べると太りますよ」





コト、と目の前にいつものサンドイッチが置かれた。
煽られた言葉を無視するようにそれに手を伸ばして、ふと気づく。




「…いつもより多くないですか？」




いつもより1.5倍は多い。置き方に工夫してバレにくいようにしているみたいだが、私の目は誤魔化せないぞ。



「音信不通の間に何があったのか知りませんが…痩せすぎです。前よりも明らかに顔周りが細くなっています」

「え」






USBを見て(あれ)からは2週間程度経っている。急にではないが食事も元に戻したし、あの時をきっかけに栄養バランスも考えながら品数を作るようになったんだけどな。数日何も食べないってのは、やっぱり体に悪いらしい。




「…気持ちは嬉しいですけど、これじゃ不平等ですが」

「いえ、それと少し頼みたいことがありまして」

「頼みたいこと？…なんですか、嫌な予感しかしないんですけど」



彼は笑いながら奥のバックヤードに消えていく。不審者か。




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