探偵よ、私は短気なもんで。2

88話 ページ44

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『また明日伺います』







そのメッセージを受け取ったのは3日前の夜だ。つまり約束からは既に2日が経過しているということ。その間、日程変更の連絡も謝罪文も届いていない。






工藤邸で一人の男＿＿沖矢昴は頭を悩ませていた。








木更津紗綾が一向にくる気配がない。彼女は大学生だから忙しいということもあるだろうが、こちらから連絡をとっても既読すらつかない。電話にも出ない。これは一体何を表しているのだろうか。





こちらとしては、一刻も早く伝えたい情報があるのだが。一瞬、脳裏に契約を放棄したかと浮かんだがすぐにそれは消し去られた。


彼女のことだ。きっと何か事情があるに違いない。


明日中に連絡がなかったら、家にでも迎えに行ってみることにしようか…と、書斎で開いていたパソコンを閉じた。














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「…………いま……何時………？」








目を覚ますと、真っ暗な部屋で寝ていた。ぼんやりとした意識を無理矢理覚醒させるべく身体を起こそうとするけど、なんだか上手く力が入らない。




目が慣れるのを待ってから部屋を見回すと、カーテンがしっかりと閉まっている。


…そういえば、あの後―USBメモリを確認した後、そのまま寝たんだった。
そして半狂乱になるでもなく、酒に溺れるでもなく、ただベッドに沈むという生活を送っていた。



ろくな食事を取っていないから頭が回らない。…時計を見るとあれから3日が経過していた。よく死ななかったな…。










目が覚めるたびに考えていた。私はこれからどうすればいいのだろう…と。


情報を見た直後は悲しみや絶望が入り交ざって、混乱していたためロクな考えが浮かばなかったけど、数日経てば人間は順応するものらしい。
次第に、裏切られた悲しみと、怒りと、それから姉に会って止めなければならないという使命を感じた。






この世界で彼女の家族は私のみ。逆も然りだ。







姉が犯罪組織に加担しているのは、どんな理由であれ許されない。2日ほど経ってから、そんな当たり前のことを思いつくことが出来た。





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