探偵よ、私は短気なもんで。2

55話 ページ11

.





「早速頂いてもいいですか？このケーキ、いいとこのなんですよ」

「ええもちろん。というより、紗綾さんが買ったものですので許可を得るのは違う気が…」



あはは、気にしないでください、なんて上っ面の笑顔を浮かべ、フォークを取る。私は上のいちごから食べる派なので、ｻﾞｸｯと刺してそのまま口に頬張った。



彼は私が食べたのを確認してから口に頬張った。そんなに怪しまれてるのか、私。




「…で、お話とは？」

「ええまぁ…、」



ｶﾁｬ、とチーズケーキの乗ったお皿を置き、フォークを置き、彼は私を一目した。


あーー今から本題に入るのか。辛いなぁ、やだなぁ、死にたくないわーーー。


そんなことを思っていたのがバレたのか、沖矢さんはくっ…と笑い「そんなに身構えなくても大丈夫ですよ」と目を細めた。いやその目が怖いわ。



「気分を害してしまったら申し訳ないのですが、」と前置き。飛んでくる問いに対して身構える。











．













「何故サングラスを外さないんですか？」

「…………え？」






予想と７５度くらい違う方向から来た問いに思わず固まる。もっと単刀直入に、「あなたは何者ですか？」とか聞かれると思っていた。いやもしかして、サングラスを外さない→顔を見せたくない→怪しいって繋がってるのかもしれん。




「…いえ、聞き方を変えます。


…それは外さないんですか？それとも、外せない(. . . .)んですか？」



「……」






言い方を変えてきた。
というよりはこの人、どこまでも優しいのか。




多分、多分だけど。
私がサングラスを外さない理由を、ただ怪しいからという理由で聞いていいものではないかもしれない、とわかっているのだ。


どこかの探偵とは大違いだ。全く、









「イケメンかよ」
「はい？」
「こっちの話です」






.

56話→←54話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す