Episode22 朝話 ページ24
結局私はその夜、疲労も相まってかそのままTordと共に寝た。もちろん何も無い。普通に寝た。
一緒に寝た、となると朝起きれば隣に彼の寝顔があるって事。そんな訳で私は今寝癖を指先で弄りながらTordの寝顔を堪能している。
『…』
口を閉じていればかっこいいのに。端正な顔が勿体ない…宝の持ち腐れとはこの事か。まあそれが彼の魅力のひとつでもあるのだが。
ふとスマホの時計を見ると時刻は午前7時を回っていた。そろそろ朝食を取りたいところだが今の私には出来ない。何故かって？
『……力強っ』
片腕を掴まれているからだ。実はというと、Tordは私の片腕を抱き枕のように拘束して眠っていた。理由は分からん。しかしそのせいで私はベッドから出られなくなっていた。
何せこの男、細身のくせに力が普通に強いのだ。
腹の虫が鳴っている。そろそろ本当に出たい。髪も梳かしたいがこんな状況じゃな。元凶の張本人は無防備に寝こけているし。本当に信頼されてるんだな、とちょっと嬉しく思ったがやはり腕は離して欲しい。
『くっ…このっ！』
力ずくで脱出を試みる。失敗した。
本当は起きてるんじゃ？と思うようなこの力。私がひ弱過ぎるだけなのかと錯覚してしまう。これでも腕っ節は立つ方なのに自信なくしちゃうな。
『はぁ…』
「はは、相当お困りの様で」
？！
勢いよく声の聞こえた方向に顔を向ける。
Tordが、目を覚ましていた。いや、もしかしたらずっと起きていたのかもしれない。
『起きてたんかい！！！！！』
「力ずくで離そうとしてた辺りからな」
『離せよ！！！！！！』
Tordの頭目掛けて軽く拳を振り下ろしながら憤慨するが、当の本人は楽しそうにニヤニヤするばかりだ。……ムカつくな。
「いやぁーちょっと面白くてな。つい」
『“つい”じゃない。今度やったらsunshine lollipop流すからな』
「なんで俺の地雷曲知ってんだよ……」
『こっちの世界のTordも嫌いだからもしかしてって
』
「うげ」
やっぱちゃんと例の曲は嫌いなのか。分かりやすく眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をするTordに、してやったりといい気分に浸っていると、おもむろにTordが「ん？」と声を漏らした。
「“今度やったら”っつー事は…また一緒に寝てくれるって事か？」
『＿＿＿あ』
墓穴だった。頭の片隅で『また一緒に』と考えていた事が無意識に言葉として出てしまったのだろう。それに気付いた時にはもう遅く、身体の熱が顔に集中し私は口をわなわなと震わせる事しか出来なくなっていた。
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ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです！！Tordと夢主の相性が抜群ですね！！！（？）無理せず更新頑張ってください！ (2023年1月25日 8時) (
レス) id: 7db4a09c58 (このIDを非表示/違反報告)
大祝 - お久しぶりですー!この作品大好きだったので更新嬉しいです! (2022年10月28日 17時) (レス) id: e74f7c17fb (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - いつも楽しみに待っていました！これからの展開を楽しみにしています！ (2022年10月28日 17時) (レス) @page29 id: e11f93c1d4 (このIDを非表示/違反報告)
omio(プロフ) - 更新待ってました！来る日も来る日もチェックさせて頂いていましたが本当に嬉しすぎてやばいです!!次の更新も心待ちにしてます！ (2022年10月27日 18時) (レス) id: 0610d9afb5 (このIDを非表示/違反報告)
ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです！相変わらずの豊富な語彙力羨ましいです…！無理せず更新頑張ってください！！ (2022年10月27日 8時) (レス) id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年7月10日 21時
