Episode1 脅迫 ページ3
酔った勢いで買った宝くじがまさかこんな大金に化けるとは。
口座に振り込まれた“7億”という数字を見ていると自然と口角が上がってしまう。日本が当選金を非課税にしてる国で本当に良かった。
『7億かぁ…7億……久しぶりに旅行にでも行っちゃおうかね〜』
これだけの金額があれば多少遊んでも一生働かずに暮らせるだろう。まあしかし、今のクリエイター業も楽しいのでよっぽどのことがない限り辞めたりしないが。
手元の通帳を見ながら終電に乗り込む。今日は作家仲間との飲みでかなり遅くなってしまった。10分も経たないうちに目的の駅へ到着すると、私は一目散に家へ駆けていった。
『そういや冬のコミケのネタも考えなきゃなぁ』
せっかくだし、久しぶりにeddsworldの二次同人でも描いてみようか。
そんな事を考えながら軽やかな足取りで帰路に着く。アパートの階段を上がり、意気揚々と私はドアノブに鍵を差し込んだ。
『ただいまー』
暗い室内に私の声がこだました。
一人暮らしをしている私だが、帰りの挨拶は幼い頃からの習慣でまだ残っている。その習慣のせいで一人暮らしの寂しさを痛い程突き付けられてしまうが、まあ気にしたら負けだろう。
玄関の扉を閉じると、さらに室内が漆黒に染まる。早く電気を着けたかったが、まずは靴を脱がないとスイッチに手が届かない。
面倒くさげにため息を着きながら廊下に背を向け靴を脱ぎ始めた________その時だった。
「動くな」
__カチャ、という金属音と共に後頭部にひんやりとした何かが突き付けられた。
『ぁ……え?』
「今から言う質問にだけ答えろ」
何が起こっているのかさっぱり分からない。ただ1つ理解出来たのは、後ろに私以外の誰かが居るという事だけだ。
じゃあこの後頭部に突き付けられている冷たい物は?嫌な想像が脳内を過ぎる。まさか、7億が当たった事がもう嗅ぎつけられたのか?
そんな事を震えながら考えていると、男のものであろう低音の声が圧をかけながら言葉を発した。
「ここはどこだ。そしてお前は誰だ?」
『ここ、ここは私の家でででAAっていいますすすす』
「何…?A?」
物凄い吃りで答えてしまったが、相手には伝わったようだ。男はしばらく考えこむ様子で黙り込むと、後頭部に突きつけていた物をゆっくりと離した。
…お?死亡フラグ回避?
しかしまだ後ろを振り向く勇気は無い。そんな私に、男は混乱しているような声色で呟いた。
「A…日本名か?いやでも何で…」
『あの…?』
71人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!!Tordと夢主の相性が抜群ですね!!!(?)無理せず更新頑張ってください! (2023年1月25日 8時) (レス) id: 7db4a09c58 (このIDを非表示/違反報告)
大祝 - お久しぶりですー!この作品大好きだったので更新嬉しいです! (2022年10月28日 17時) (レス) id: e74f7c17fb (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - いつも楽しみに待っていました!これからの展開を楽しみにしています! (2022年10月28日 17時) (レス) @page29 id: e11f93c1d4 (このIDを非表示/違反報告)
omio(プロフ) - 更新待ってました!来る日も来る日もチェックさせて頂いていましたが本当に嬉しすぎてやばいです!!次の更新も心待ちにしてます! (2022年10月27日 18時) (レス) id: 0610d9afb5 (このIDを非表示/違反報告)
ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!相変わらずの豊富な語彙力羨ましいです…!無理せず更新頑張ってください!! (2022年10月27日 8時) (レス) id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はちまき | 作成日時:2022年7月10日 21時