Episode14 露顕 ページ16
「……」
『……』
バサバサと十数冊のピンクの本がフローリングの床に転がった。尻もちを付いた状態で目の前に立っているTordへゆっくりと視線を移す。
その綺麗な瞳を大きく見開き床を……いや、本を凝視している。
あ…私リビングから出てきたTordにぶつかったのか……
時間が経つにつれ徐々に顔へ集中する熱に耐えきれなくなり、私はその場で蹲った。穴があったら入りたいとはまさにこの事。
「＿＿…へぇ」
＿＿少しの沈黙の後、突然Tordが息を吐くようにそう呟く。
蹲っていて目の前の状況は把握出来ないが、音から推測するにTordが床の本を拾い上げた事が分かった。急な物音に反射で身体がビクッと震える。
「こーゆーのが好きなの？」
ゆっくりと顔を上げれば、これ見よがしに私の前で本を捲るニヤついたTordの姿が。心做しか羞恥心よりTordへの苛立ちの方が勝った気がする。
床に座り込む私へ目線を合わせるようにTordは膝を折ると、次は別の同人誌へと手を伸ばしページを開き始めた。
「ふーん？“嫁入り前の女が男と寝るなんてありえない”とか言ってた清楚でお堅いAがこんな刺激的な趣向をお持ちとはね」
『ち、違＿＿！その本は参考資料として買っただけで……………ぁ』
「参考資料、ね。このHENTAI漫画を何の参考にしてたんだ？」
失言だった。この場において口を滑らせるとは。
Tordは面白がっているのか、私が逃げられないようにさり気なく手を重ねてきている。さっきから心臓の音がうるさい。クソが、どんな羞恥プレイさせられてんだ私は。
『……＿＿＿の………参考……に……』
「ん？聞こえねーなぁ」
『……っ、漫画を描く時の参考資料にしてたんだよ』
湧き出る恥ずかしさを抑えながら、少し言葉を濁してそう応える。Tordは数秒黙り込んだ後、ニヤニヤと笑いながら重ねていた手をスっと離した。
「やっぱお前おもしれーな。さっき“漫画”って言ってたけど多分この散らばってる本の中にAが描いた作品も多分混ざってんだろ？」
『え、なんで分かって…』
「そりゃあ前部屋に入った時に机の上が画材やらスケッチブックやら並んでたからな。まさかこんなエ ロいもの描いてるとは思わなかったけど」
うんうんと頷きながらピンポイントに私の作品を拾い上げて中身を見始めるTordに自然とため息が出る。喜んでいいのかよくないのか分からないが、取り敢えず私の秘密はTordに受け入れて貰えたようだ。
「なあ、この中の数冊貰ってもいいか？」
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ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです！！Tordと夢主の相性が抜群ですね！！！（？）無理せず更新頑張ってください！ (2023年1月25日 8時) (
レス) id: 7db4a09c58 (このIDを非表示/違反報告)
大祝 - お久しぶりですー!この作品大好きだったので更新嬉しいです! (2022年10月28日 17時) (レス) id: e74f7c17fb (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - いつも楽しみに待っていました！これからの展開を楽しみにしています！ (2022年10月28日 17時) (レス) @page29 id: e11f93c1d4 (このIDを非表示/違反報告)
omio(プロフ) - 更新待ってました！来る日も来る日もチェックさせて頂いていましたが本当に嬉しすぎてやばいです!!次の更新も心待ちにしてます！ (2022年10月27日 18時) (レス) id: 0610d9afb5 (このIDを非表示/違反報告)
ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです！相変わらずの豊富な語彙力羨ましいです…！無理せず更新頑張ってください！！ (2022年10月27日 8時) (レス) id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年7月10日 21時
