新人AD×安(長め)(裏なし) (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:2,669 hit

AD×安　② ページ2

「そうやったんや…俺らの番組やのに気づかれへんくてごめんな……。俺あのディレクターさんと仲良いねん。今度ちゃんと話しとくから。Aちゃんみたいにさ、ADさんとかスタッフさん含めて番組って成り立つと思うねん。こうやって掃除とかやってくれるから次綺麗なセットで撮影出来るんやんか。大丈夫やで？泣かんとって…」

安田さんはそう言ってくれるけど、励まされたら、励まされるほどに、涙はボロボロと溢れ出た。

-安田side-

前回の収録くらいから気になってた。
俺らの番組に新しい女の子のADさんが入ってきてて、ちょっとメンバーとも話してて。
可愛いなーとかそんなくだらん話やったけど、
俺が一番気になったんはその子が一生懸命やってるのに理不尽に怒られまくってて、泣きそうな顔を一瞬したあとすみません！と真面目な顔に戻って仕事を続けていることだった。
助けてあげたい。そう思ったけど、次の仕事の移動があったから声がかけられなかった。

今日は仕事がこれで終わりやから声をかけてみてんけど……こんなに思い詰めてるなんて思わへんやん。
言うてや、って思うけど演者に相談なんてってきっと思ったんやろうな…。そう思うと泣き顔を見られて良かったとも思う。溜め込むよりずっといい。

でもなんでやろ、Aちゃんの泣き顔見たら俺…
なんで……ドキドキしてんねんやろ……
頑張って耐えてたん知ってて、今、弱いとこ、見せてくれたから…？
ってかやばい、Aちゃんって仕事健気にやってんのに、こんな可愛くて、初めて優しくしてくれたんが俺やとか言われたらそんなん、我慢できひんって…

…誰も見てへんからええよな…？

-あなたside-

ぎゅ、と強いけど優しい力で包み込まれて、
「え、」と思わず声が出る。

「安田さん……？」
「俺がちゃんとディレクターさんと話する。だからもう心配すんな。わかった？」
私を抱きしめながらそう言った安田さんの目は、真っ直ぐだった。

*
その後、ディレクターさんの怒号がまるで嘘のようになくなった。
安田さんは他のメンバーの人にも話してくれたみたいで、みんなが私を気にかけてくれるようになった。
安田さんのおかげだ、お礼を言わなきゃ。

そう思って収録後、安田さんに声をかけた。

「安田さん！」
「ん？…あ！Aちゃんやん♡どう？調子は？」
「お前Aちゃんって呼んでんの？」
大倉さんが突っ込みを入れる。
それはそうだ。私はただのADなのに…。