バレンタインの時間・２時間目 ページ26
茅野視点
カルマ君や中村さんのおかげで、渚にチョコを渡せた。
私の自慢の演技の刃で、最高の笑顔で応援するよ。
山を下りたところで、渡辺さんの背中が見えた。
「Aちゃん、はさ、なんで？誰にでもするの？」
なんかシリアスな雰囲気を感じて、気配を消して近づいた。
木の陰から様子をうかがう。
渡辺さんと、わかばパークの時の双子。
「誰にでも、そういう事するの？」
どういう事？
涙を浮かべて震える声で訴える男の子。
かずき君、だっけ。
「やだよ。ボクは、Aちゃんに喜んで欲しかったのに、褒めて欲しかったのに」
下を向いて、なんで、なんで、と繰り返すかずき君。
「Aちゃんは、酷いよ。ボクだって、本気で好きなのに。子供でも、何でも、好きなのに」
「・・・なら、好きにならなきゃ良かったのに」
渡辺さんの言葉に、カッとかずき君が渡辺さんを睨みつけた。
「バカッ!!ボクは、ボクは!!
Aちゃんだから好きなのっ!!」
そう言って、渡辺さんを蹴って走り去っていくかずき君。
「・・・弁慶の泣き所蹴るなよ」
渡辺さんは蹴られた所をさすって、木にもたれかかった。
フードを被って、ポケットに手を突っ込んで。
「渡辺さん？」
木の陰から出て、話しかける。
ピクッと反応して、渡辺さんがこっちを見た。
「茅野」
「帰らないの？」
「茅野、待ってた。潮田に渡しに行ってたから」
ここ居りゃいつか来るでしょ、とカバンから何かを取り出す渡辺さん。
「・・・はい」
と、その何かを差し出された。
え？
「と、とと、と、友チョコ」
え？
「いろんな奴に手伝ってもらったけど、まぁ、一応、手作り」
まぁ、何しようが溶かして固めただけなんだけど、って押し付けてビューって走って行っちゃいかけたのを、
「ちょっと待って！」
呼び止めた。
いつもならそれでも行っちゃうけど、今日は立ち止まってくれた。
「さっきの、何があったの？」
かずき君、泣いてた。
「茅野に関係無い事」
う、それはそうかもしれないけど。
「・・・チョコ」
ん？
「チョコくれたのを、食べただけ」
え、じゃあなんで泣いてたの？
「『甘いの苦手』って言ったら、『食べなくていい』って言ってきたから『じゃあ持ってくんな』って返したら、なんか怒った」
なんで怒ったのか分からん、とため息を吐く渡辺さん。
・・・そっ、か。
「多分かずき君は、渡辺さんに『美味しい』って、言って欲しかっただけなんじゃないかな」
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椎名ゆん - 占ツクにはツッコミどころが多々あったり、更新停止などの作品がほとんどです。でも、この作品は私にとって奇跡と自信を持って言えます。大好きです。お帰りなさい。 (2017年3月21日 14時) (
レス) id: 58bcbd62e5 (このIDを非表示/違反報告)
椎名ゆん - ずっと待ってました…！受験お疲れ様でした。合格おめでとうございます。占ツクには更新停止してしまう作者さんがとても多くいますが、ドライすぎるアイスさんはきっと戻ってきてくれると信じてました。信じてもらえないかもしれませんが、この作品が1番好きです。 (2017年3月21日 14時) (レス) id: 58bcbd62e5 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 合格おめでとうございます！！ (2017年3月18日 11時) (レス) id: 7d2d82cde7 (このIDを非表示/違反報告)
衣更舞音(プロフ) - ずっと待ってました！去年のスマホ帰る前も何回も読みました！それくらい好きです！合格おめでとうございます!! (2017年3月17日 20時) (レス) id: a461367fb5 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ(プロフ) - お帰りなさい。合格おめでとうございます。 (2017年3月17日 6時) (レス) id: 753207f60d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドライすぎるアイス | 作成日時：2016年4月2日 15時
