だいぶ後の時間 ページ29
「私も学校嫌いだったなぁ」
なんて、学校の嫌いな所について互いに話し合うようになったのは何日前からだろう。
最近毎日のように買い物を頼まれる少年は、毎日のようにその人物と会っては話していた。
『知らない人についていっちゃいけません的な事大人に言われなくても分かれよ少年』
そんな事を言われたが、親に言われたことも先生の話を真面目に聞いた事もついていった覚えも無い、と返したら呆れてため息を吐かれた。
「まず『ペア組んで』がおかしい。あれはボッチに対する死の宣告として使用を控えるべき」
缶コーヒー片手に言うその人物。
「授業参観も嫌ですね。親来てないとクラスメートがうるさくて」
リンゴジュースのペットボトルを片手にそう言う少年。
「知らない人から物貰うなそして飲むなバカか少年」
「知らない子供を暇潰しに付き合わせてる大人が言っても説得力無いですよ。それに物を与えた本人が言うのも」
「その大人に付き合って暇潰してるあたりはどう反論するのかな少年」
「・・・家に１人でいるのに飽きてたんで、暇潰しで暇潰してるんです」
少年がそう言った時、その人物は飲んでいたコーヒーの缶を口から離した。
「私が暇潰しに付き合わせてる側のはずなのに少年の暇潰しに付き合わされていた・・・だと!?」
「そこ気にしますか!?」
飲んでいたリンゴジュースを噴き出し、袖で口元を拭いながらツッコミを入れる少年。
その翌日。
母からおつかいを頼まれなかった。
それはつまり、あの公園に行く口実が、あの女性に会いに行く口実が、無くなったということで。
少年は教室で、授業をＢＧＭに窓から空を見上げた。
「・・・雨、降ってきたな」
帰り道、傘を忘れた少年は雨に降られながら歩いていた。
傘に入れてくれようとした人は何人かいた。
あまり友達のいない自分にしては多いなと感じたほどに。
無意識に歩が速くなり、気付けば走っていた。
あの公園へ。
着いて、昨日座っていたブランコを見る。
あの人はいない。
ジャングルジムを見る。
その人物はいない。
公園全体を見る。
誰もいない。
荒い呼吸を繰り返すうちに、むなしくなってきて。
暇潰しで暇を潰すあの時間が楽しかった事を、楽しみにしていた事を、雨が自分に教えているような気がして。
「先生のお話より、聞きたくないよ」
雨の音を聞きたくなくて、少年は耳を塞いだ。
雨は、まだ止まない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1303人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
若葉 - センス!!!神っすか!?!?!?!?!? (2020年4月3日 19時) (
レス) id: 4dface175c (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 今さらながら完結おめでとうございます！いきなりですが最後の「七年後の時間」の意味がよく分からなくて、、、すみません。卒業して七年後のどういう場面でしょうか？ (2019年11月7日 20時) (レス) id: 81eb5f8e4a (このIDを非表示/違反報告)
糖分 - 完結おめでとうございます。これだけ長い小説で飽きずに読めたのはこの小説が初めてで、それほど文才があるんだな…と思いました。これまで、楽しませていただき、ありがとうございました。長文失礼しました。 (2018年12月1日 21時) (レス) id: 3016699a85 (このIDを非表示/違反報告)
月読(プロフ) - 茅野ちゃんのくだりでボロボロと泣いてしまいました、我ながら恥ずかしい、、笑 完結おめでとうございます！最後まで夢主ちゃんは落ちなかったですね…私本当はそういう系あんまり好きじゃないんですけど、この作品は別格で最高でした！ありがとうございました！ (2017年11月28日 0時) (レス) id: 720095c5ce (このIDを非表示/違反報告)
キャンディット(プロフ) - ドライすぎるアイスさん» そうですか… ありがとうございます！ 完結おめでとうございます！！！！！！！！ (2017年10月1日 5時) (レス) id: 8583ad440a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ドライすぎるアイス | 作成日時：2017年3月17日 2時
