黒と白～BADEND編～ (ページ5)

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三話ページ5

夜、辺りに静寂が漂う中僕は父と一緒に手紙を流すため、海に出かけることになった。夜になるとテント一つ一つが不気味さを出していて、まるでどこかの団体のようなそんな雰囲気に見えた。

「行くぞ。」

父に呼ばれ、はっと我に返る。僕は先を歩く父の後ろを追うように走った。

父の横に並び、歩く。
二人分の足音しか聞こえない。それがなんだか不思議と心地良かった。

歩きながら、月を見上げる。
暗闇に浮かぶ月は眩く光っていて、僕はその眩しさに目を細めた。そんな時、大きな背中にぶつかった。見ると、父の背中だった。どうやら海に着いたらしい。

そこには、色鮮やかな青色の海が静かに波打っていた。とても美しく、なんだかずっとここに居たくなる。そんな安心感がある海だった。

「綺麗・・・。」

この村にこんな綺麗な場所があるなんて思いもしなかった。

「綺麗だろう。いつかリーデルにも見せてやりたかったんだ。ようやく叶ったよ。」

父はそう言いながら手紙が入ったボトルを取り出した。僕の横にしゃがみ、そのボトルを海に流した。

ボトルはゆっくりと、遠くに流されていく。

「手紙には・・・。なんて書いたの？」

僕はおそるおそるそう言った。
気にはしていたが、踏み込まない方がいいとそう思っていた。だけど、知りたかった。父がなんて母に書いたのか。

父は困惑してような表情を浮かべ、少し黙った後、口を開いた。

「お母さんにな、リーデルが元気にしてますよって報告を書いたんだよ。」

「そっか・・・」

それっきり父との間に沈黙が流れた。

「さぁ、もうこんなに暗いし、帰るぞ。」

「うん。」

もう一度綺麗な海を目に焼き付け、僕は父の後を追った。