一章 - 七話 『見つけた』(或夢) ページ10
少女は、謳いながら歩いていた。自分の立場を、彼女は知っていながらに、尚、謳いながら歩いていた。
――ふぉぉぉぉおお 見付けたぁぁあ!!!
少年の様な叫声をも、気にせずに。
『悪いオオカミは、眠らせろ。精気在る男なら魅堕としてみよ』
内気な少女は。はきはきとその詩を音として奏でる。謳う少女は本当の人格(少女)か。はたまた――。
態とらしくｶﾂｶﾂと、少女はﾛｰﾋｰﾙﾌﾞｰﾂの音を鳴らし雑木林を闊歩する。最早、見張りや追っ手に気付かれるのではないのだろうか。はたまた、自ら撒きながらも気付かせる、その為か。
“脱獄者は己では無い”とでも、云いたいのか。
其れがなんの為の詩なのか、誰も識らない。
ほら、足音が……。
「あれれー。やっぱり、コソコソしてるのって、アメちゃんかな？」
地獄耳。其れとは、意味が異なるかも知れないが、少女はその時確かにそう思った。
アメちゃんと、独特な呼び名を付け、少女を呼ぶ者は先程聞いた、叫びにも似た少年のような言葉の男声ではなく、少女を見つけた彼の男声。
『ボクも、自分が支離滅裂な事をしてるって……、判ってるよ。だけど、今……、お兄さん達に捕まるわけには……』
謳っていた名残か、はっきりと言葉を口に出した。
それに、と、少女は口を続けた。
依然として、足音が複数聞こえる。
そして、その足音らと少女は、はち遭う。
何方も獄都で、見た顔だったか……少女の記憶には全く、覚えのない蔭ばかり。
『あのこはたぁれ、たれでしょね。昏々(こんこん)この世の雑木林(ぞうきりん)。逃げる少女らを掬うのは、だれでしょね』
謳う少女は、周りを気にしない。謳う少女は、何を願う？ 少女は、ただ、逃げたいだけ。数多の、幾多の苦から、逃げたいだけ。
――貴女達も。
『見つけた』
少女の前に複数の、蔭。それは、少女が聴いた音と気配と同じだった。
――昏々この世の雑木林。逃げる少女らを掬うのは、だれでしょね。
感づいたのは、何色の眸か。
「逃げたモノをスクうのは、俺らの仕事」
「そうだな」
「擦れっ枯らし共が、姑息な真似を」
「……だるい。まだ、捕まえてないのか……」
「あはは。田噛も加勢してよ。平腹は、追ってるんでしょ？」
「……ﾁｯ」
「そっちもかぁぁぁああ!!」
夢見ることは、悪い事じゃない。
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ねむねむ - 獄卒乙女さん» 頑張ります!ありがとうございます！ (2017年12月28日 19時) (
レス) id: 7ee805d977 (このIDを非表示/違反報告)
禍瑠魔 - 獄卒乙女さん» 返信遅れて申し訳ありません。はい これからも頑張ります！ (2017年12月28日 14時) (レス) id: 5251f600ae (このIDを非表示/違反報告)
獄卒乙女 - うわあぁぁぁぁ！見つかったァァァァァ！ ← 更新頑張って下さい！ (2017年12月26日 10時) (レス) id: fd426a3898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：禍瑠魔様＋ねむねむ様＋夜妬 | 作者ホームページ：http
作成日時：2017年12月16日 20時
