93話 備えあれば ページ43
五月の頭。
近々行われる雄英体育祭に向けて、ヒーロー基礎学や体育の授業では体力と個性を鍛える内容が増えていた。
基礎訓練を終えると残り少ない時間は自主練習になり、生徒たちは邪魔にならないよう距離を取って移動する。
創造の個性を持つ八百万百はひらけた場所で特訓をしようと向かう途中、誰かが後を追っていることに気付く。
恐る恐る振り向くと、後ろで手を組んで歩くAの姿があった。
「八百万さんって色んな物を創れるんだね」
「え、ええ。私が知る限りの物であれば」
八百万はふっと息を吐いて緊張を解く。
推薦入学者に選ばれていないにも関わらず個性把握テストで総合一位、戦闘訓練では先手を打って相手を行動不能にした実力。
高い壁の先にいるようなAの存在に無意識に強張ってしまう自覚があった。
平常心を保つことに意識を向ける八百万とは違い、Aは創造の個性に興味を隠しきれずにいた。
透き通った瞳にはキラキラと光が宿っている。
「鉛筆って創れる？」
「もちろんですわ」
「ボールも？」
「できましたわ」
「武器とかも創れたりする？」
「武器、ですか？」
八百万の片手を埋めていく中、Aがリクエストしたのは方向性の違う物だった。
日頃から分厚い本に目を通して知識を得ているため次々に創り出していた八百万だが、その動きがふと止まる。
悩んだ結果、一本の剣を腕から取り出した。
「一般的な物であれば作れますわ。ですが、何に使うおつもりで？」
「こう、敵をバシッと倒すのに楽かなって」
「物騒ですわ……！」
凶器を振り回す姿を思いべた八百万は咄嗟に両手を差し出しているAから遠ざけた。
ダメかぁ、と呟いたAは今しがた受け取った物を個性で浮かして弄んでいる。
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やおや(プロフ) - パイナップルさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません…。ご感想ありがとうございます。亀更新ですが楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2023年2月5日 21時) (
レス) id: b7b6f6768c (このIDを非表示/違反報告)
パイナップル(プロフ) - すごく好きです！更新楽しみにしています！ (2022年9月14日 23時) (レス) @page19 id: 16127b2cec (このIDを非表示/違反報告)
やおや(プロフ) - すめしさん» ご感想ありがとうございます。所々謎の多い設定を詰め込んでますが、お話が進むにつれて明らかになるような構成となっておりますのでその点も含めて今後もお楽しみ頂ければ幸いです…！ (2021年4月20日 0時) (レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
すめし(プロフ) - めっちゃ面白いです…！個性についての説明がないので、どんな個性なんだ…と読んでいてワクワクします。これからも楽しみにしてます！！ (2021年4月17日 2時) (レス) id: 805a88b6fb (このIDを非表示/違反報告)
やおや(プロフ) - ポン酢さん» 貴重なご感想、応援をありがとうございます。嬉しい限りです。最終回をお届け出来るよう精一杯努めますので、今後ともよろしくお願いします。 (2021年2月7日 0時) (レス) id: c63586aa9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やおや | 作成日時：2021年2月1日 22時
