77話 ページ27
「飲むモン」
「え？」
「何飲むかって聞いてんだ。さっさと選べ」
不意にかけられた声に顔を上げると、炭酸飲料を片手に持つ爆豪が自動販売機の前で立ち止まっていた。
すでに小銭を投入したらしく、色々な種類の飲み物のボタンが光っている。
「大丈夫だよ、喉乾いてないから」
「水な」
「聞いてないし……」
爆豪は無視した上に適当に飲み物のボタンを押した。
ガコンと音を立ててペットボトルが取り出し口に落ちる。
投げ渡されたそれを地面に落とさぬようにAは左手で掴んだ。
そして、カシュといい音を鳴らした飲み物を口にして再度進み始める身勝手な後ろ姿に小さく息を吐いた。
「家すぐそこだから、ありがとう爆豪くん」
「おい」
「今度は何……？」
手に持っていた牛乳を投げずに差し出した爆豪。
大きなレジ袋を持ち直して振り返る鋭く赤い瞳と目が合う。
「次面見せる時までにどうにかしとけよ、寝不足女」
「なんで停止から寝不足に……」
建物内で何度も呼ばれていたあだ名が変わっている。
面、と指摘されてAはぺたぺたと自分の顔に触れた。
朝方には気づかなかったが、顔色が悪いことを遠回しに伝えてくれたのだろう。
意外と優しいんだね、とAは爆豪に背中を向けて自宅に向かった。
アパートの階段を上る途中で頭上から猫の声が響いた。
待ち構えていた様子の黒猫はAより先に玄関の前に座った。
扉からカチリと聞こえるはずの音が鳴らない。
家を空ける際に閉めたはずの鍵が何故か開いていた。
扉を開くと、今朝この場に無かった靴が一足。
いつものように隣に靴を並べることを忘れてリビングに走った。
「消太さん」
Aは弱々しい声でソファーに腰掛けている男の名前を呼んだ。
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やおや(プロフ) - パイナップルさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません…。ご感想ありがとうございます。亀更新ですが楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2023年2月5日 21時) (
レス) id: b7b6f6768c (このIDを非表示/違反報告)
パイナップル(プロフ) - すごく好きです！更新楽しみにしています！ (2022年9月14日 23時) (レス) @page19 id: 16127b2cec (このIDを非表示/違反報告)
やおや(プロフ) - すめしさん» ご感想ありがとうございます。所々謎の多い設定を詰め込んでますが、お話が進むにつれて明らかになるような構成となっておりますのでその点も含めて今後もお楽しみ頂ければ幸いです…！ (2021年4月20日 0時) (レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
すめし(プロフ) - めっちゃ面白いです…！個性についての説明がないので、どんな個性なんだ…と読んでいてワクワクします。これからも楽しみにしてます！！ (2021年4月17日 2時) (レス) id: 805a88b6fb (このIDを非表示/違反報告)
やおや(プロフ) - ポン酢さん» 貴重なご感想、応援をありがとうございます。嬉しい限りです。最終回をお届け出来るよう精一杯努めますので、今後ともよろしくお願いします。 (2021年2月7日 0時) (レス) id: c63586aa9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やおや | 作成日時：2021年2月1日 22時
