5話 ページ5
「ハイ、静かになるまで八秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」
寝袋から出てきたのは無精髭で切り揃われていない長い黒髪に、全身黒ずくめの服装、首元に帯状の捕縛武器を巻く男。
猫背でやる気を感じられない姿は本当に教師かと誰もが疑う見た目だ。
生徒たちは誰一人として事前に何も聞かされていない。
Aは他に教師らしき人物が見当たらないことに疑問を持ち、緑谷は「この人もプロヒーローなのか」と不安げに呟いた。
男は教室内に足を踏み入れると、先程と変わらない声色で話し始める。その一言は全員に衝撃を与えた。
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
「担任!?」
予想外の言葉に目を丸くしたり、驚きで開いた口が塞がらない者など、様々な反応を見せる。
心底驚いた表情を浮かべるAもその内の一人だった。「聞いてない!」と目で訴える様子に気付いた相澤は「言ってないからな」と何食わぬ顔で視線を返した。
この男、相澤消太は教師として、そしてプロヒーローとしても活動している。
そして数年前、Aが中学に通っていた時に起きた一つの出来事をきっかけに二人は同じ屋根の下で暮らし始めた。
ただの同居人ではなく、Aにとって相澤は本物の家族のように大切で大事な存在だった。
今朝は一足先に家を空けていたようで、昨夜も特に変わった様子もなく会話を交わしていた。
まさか教科担当ではなく担任になるとは考えもしなかったことで。
Aの心の中は嬉しさと戸惑いが半分ずつ埋めていた。
相澤は机の数と生徒の人数を一目で確認すると、先程まで使用していた寝袋をゴソゴソと漁って何かを取り出す。
「早速だが、これ着てグラウンドに出ろ」
全員に見せるように手にしたのは一着の服。
それは、雄英高校指定の男女兼用体操服だった。
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やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…! (2021年4月20日 0時) (レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです!頑張ってください! (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やおや | 作成日時:2021年1月29日 2時