36話 ページ36
「緑谷くん。おはよう」
「お、おはようっ、千歳さん！」
Aは駆け足で緑谷の隣に追いつく。
声をかけられるとは考えてもいなかった緑谷は裏返った声で挨拶を返した。
「朝早いね。何か用事でもあるの？」
「え、えっと、朝早く行けばオールマ……先生たちと話せるかなって思ったら予定より早く起きちゃって……！」
気恥ずかしそうに後頭部を掻いて「あはは」と笑う緑谷の目線はどこか気まずそうに外していた。
あ、と何かを思い出したAは制服のポケットを探って目当ての物を取り出す。
可愛らしい小袋の中にはリカバリーガールから貰った菓子がいくつか入っていた。
「これ貰い物だけど、昨日のお礼」
「お礼……？」
差し出されたものに戸惑いを隠せない緑谷。
Aの説明を聞いている間に両手にその小袋を乗せられた。
「そんな……！ 僕の方こそお礼させてほしいのに……！」
「いいよいいよ。お菓子受け取ってくれたからそれだけで嬉しい」
ふわりと見せた微笑みに緑谷は自然と顔を赤くした。
耳まで真っ赤に染めたまま、照れ隠しで歩みを急かす。
あの時に体験した胸の高鳴りは何故か訪れなかった。
山の上に聳え建つ校舎に足を踏み入れると、二人は迷うことなく教室に辿り着く。
教卓の近くでこれといった理由もなく立ち続けていた飯田は、いち早く二人に声を掛けた。
緑谷の後に続いて挨拶を交わすと、Aは背負っていたリュックサックを自分の机上に置いた。
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やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
