34話 ページ34
Aは近くに置いてあるリュックサックの中から昨日リカバリーガールにもらった菓子を手に取った。
それを両手で差し出すと、首に捕縛布を巻いていた動きが止まる。
「はい、どうぞ」
「菓子？ 婆さんにもらったのか……って、どんだけ貰ってんだ」
「たくさん渡してくれたから遠慮なく……」
「限度があるだろ……」
先に家を空ける相澤は毎日のように「朝食を食べろ」と言うが自分は水分だけ補給して出勤することがほとんどで。
相澤はAの手の上に置かれた種類ある菓子の中から一つ手に取って袋を開ける。
朝食というよりも軽食の方が合っているが、珍しくこの時間帯に食べ物を口にしている様子にAはほっとしていた。
「今日は昨日と違って普通に授業がある。午後には演習もあるからな。ぶっ倒れる前に栄養補給しとけよ」
食べ終えた相澤は物音の原因である膨れたゴミ袋を手に持つ。
Aは毛布を羽織って玄関まで着いていき、ぐいっと伸びをする。
靴を履く動作を止めた相澤は寝癖のある頭に手を伸ばした。
ひ眠たげな目を細めたあと、Aは頭上に置かれた手に自分の手を重ねる。
「……どうしたの？」
「授業以外は大体職員室にいる。いない時はマイクも頼ってやれ。アイツ、ずっとAの話してたぞ」
わしゃわしゃと雑に頭を撫でた相澤は再びゴミ袋を手にして「行ってくる」とドアノブを回した。
Aは一層ボサボサになった髪を片手で梳かしながら手を振る。
薄らと明るい光が玄関先に降り注いだ。
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やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
