27話 積み重ねる思い ページ27
「あっ！ 千歳さんー！」
教室に向かう途中でリュックサックを背負った麗日と出会った。
麗日は大きく手を振って、小走りでAに近寄る。
Aが彼女の名字を呼ぶと、はっと慌てて口元を押さえた。
「自己紹介まだだった！ 麗日お茶子です！ 千歳Aさんだよね、さっきのテストで一位取ってた人！」
「あ、ありがとう。麗日さんこそ、ボール投げで無限出してたよね。すごいなぁ、記録無限って中々見る機会ないから」
「えへへ、私はボール投げしか良い結果出せんかったけど……あ、怪我は！？ もう大丈夫なん！？」
「うん。この通り」
ころころと会話と表情が変わる様子に既視感を抱きつつ、Aは包帯を巻いた手を振ってみせる。
気休め程度に"念力"と"停止"の個性を器用に使ってピースサインを作ると、麗日は「よかったぁ……！」と真実を知ることなく安堵の息を吐いた。
「心配かけてごめんね。あ、よかったらこれもらってほしいな」
「わあ！ どしたんこのお菓子！」
Aは左手でポケットに詰め込まれた大量の菓子を掴んだ。
手を広げた際に滑り落ちた菓子は空中で停止し、ふよふよと浮いて山の頂に戻っていく。
「保健室でもらったんだけど、さすがに多すぎたから……。お菓子、嫌いじゃなければ」
「もちろん嫌いじゃないよ！ こんなにたくさんいただいちゃって嬉しいなぁ、ありがとう！ 大事に食べるね！」
「こちらこそ。ありがとう、麗日さん」
麗日は菓子を受け取ると、眩しく可愛らしい笑顔を見せた。
また明日、と交わした会話を最後に、二人は背を向けて廊下を歩き始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 128人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
