17話 ページ17
残る種目を終えたAは、皆とは少し離れた場所で校舎を眺めていた。
何度か動作を確かめていた右手はテスト開始前とは違い、指を一本ずつ動かすことも、握ることも簡単にはできない。
力なく微動だにしないこの手の感覚は今日が初めてではなかった。
個性の使いすぎによる軽い痺れはよく起こるが、重度の麻痺症状は久しく体験していなかった。
帰るまでに治ればいいな、とAは他人事のように頭の片隅で考えていた。
「んじゃ、パパッと結果発表」
相澤は手持ちの端末から順位と名前を空中に映し出す。
計二十一人の名前がずらりと並ぶ中、左側の最上段に一の数字と並んで千歳Aの文字が表示されていた。
やってしまった、とAは結果とは真逆の反応を示した。
素直に喜ぶことができず冷や汗が流れる。
わざと手を抜いてテストに挑んだ理由があったが、同時に最後尾に緑谷の名前があることに気づいた。
自分の順位など気にしている場合ではなかった。
最下位は除籍処分。相澤が事前に伝えていたことだ。
緑谷やAに納得のいかない思いが残る中、教師は清々しいほどの笑顔を見せた。
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やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
