46話 ページ46
ホームルームを終えた教室は戦闘訓練の話題で持ち切りだった。
個性把握テストでは総合一位を取り、戦闘訓練では敵側の動きを止めて味方を有利にした個性について。
Aは少し前まで数人に囲まれて質問責めにされていた。
息をつく間もなく同じような質問を持ち込まれる経験などなく、どっと疲れが押し寄せる。
質問が止むきっかけとなった爆豪が皆の呼び掛けを無視して教室から出て行く音が聞こえた。
窓の外では夕焼けに染まる街の建物が光に反射して輝いている。
爆豪の後に続いて帰ろうとAは荷物をリュクサックに纏め始めた。
「なぁ、一つ聞いていいか？」
頭上から冷めた声色が降り注ぐ。
声の主は端正な顔立ちで左目の周りには痛々しい火傷の痕、そして赤と白で分けられた目立つ髪色で。
個性把握テストでは総合三位、戦闘訓練では氷の個性でフロア全体を一瞬で凍らせて相手を即行動不能にした実力を持つ、轟焦凍という少年。
「……な、なに？」
「お前の個性、動きを止める能力と物を浮かす能力、あとは何だ？ さっきの話を聞いてたが、全部濁して答えてただろ」
Aは荷物から手を離して顔も逸らした。
先程から轟の冷たい視線が刺さって痛い。
「テストの時は違う個性も使ってたよな。お前も複数持ちか？」
「そう、かも……色々使えるし……」
「自分の個性なのに随分と自信ねェんだな」
「……うん、ないよ」
ぼそりと呟いた返事は突然、わっと上がった声によってかき消された。
授業の途中で保健室送りになっていた緑谷が痛々しい怪我を包帯で隠して、けろりとした顔で戻ってきたのだ。
Aは急いで纏め終えたリュックサックを手に持って轟から逃げるように緑谷の元に駆け寄った。
緑谷は「ご心配をおかけしました」と怪我を気にさせない明るい笑顔を見せた。
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やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
