31話 ページ31
皿の汚れと洗剤を冷たい水と共に洗い流す。
二人分の食器を片付けることにはすっかりと慣れて、稀に部屋を訪ねてくるプレゼント・マイクが加わってもこの仕事は苦ではなかった。
洗い終えていないコップを手に取り、小さな氷を入れて水を注いだ相澤は再びリビングのソファーに戻っていく。
「出勤するまでの短時間で何か機嫌を損ねる事をしたのかと悩んだが……結局、あの冷めた態度は何だったんだ？」
「消太さんが教師と生徒の関係を忘れるなよって言ってたから、私はその約束を守ろうとしただけだよ。……冷たすぎたかなって思ったけど」
か細く、不安げに呟いた声は水の音に遮られることなく彼に届いた。
相澤はぐび、と乾いた喉に水を流し終えるとソファーに体を沈めた。
「確かに言った覚えはあるが、他の生徒がいる前で名前呼びとタメ口はやめろって意味な。明らかに素っ気ない態度だと逆に怪しまれるぞ」
「えっ……？ そ、それをもっと早く言ってほしかった！ あんな態度を取る必要無かったの……！？」
狼狽える姿を横目に、相澤はグラスを傾けて中身を飲み干す。
からん、と氷が鳴った。
「出来る限り努力します、ね」
「繰り返さないで……」
「最下位にはなりません、って心配するのはそこじゃないだろうに」
「……あああ、いいよもう……恥ずかしいから、やめて……」
Aは台所からリビングに戻ると、相澤の隣には座らずにソファーの後ろに向かった。
頬が茹だるほどに熱くなっていることを自覚しながら。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
