29話 ページ29
携帯の電源を付けると、某メッセージアプリの通知が三件。
どちらも不在着信の吹き出しだった。
送り相手の名前は"友達"とだけ表示されている。
相手を表す画像は初期のままで、新しいメッセージの上には電話のアイコンと通話時間を記した吹き出しがいくつも残っていた。
画面を確認した途端、Aの表情がふっと緩んだ。
すぐに通話のアイコンを押すと呼び出し音が流れ始める。
音楽は繰り返すことなく突然ぶつりと切れた。
「ごめんね、さっきの電話気づかなくて」
『お前、常に携帯持っとけよ』
「持ってたよ？」
『電話に出ねェ理由は？』
「……上着のポケットの中に入れてました」
またか、と男は冷たく呟いた。
過去にも同じような理由でAと連絡がつかないことが多々あったのだ。
だが、癖ついてしまったものは簡単には直すことができない。
叱られると察したAは「そ、そんなことより！」と声を張った。
「なにかあったの？ 三回も電話かけるなんて珍しいね」
『いや、いい。何でもねェ』
「君こそまたその理由で電話したの……？」
『嫌か？』
「嫌、じゃないけど……」
『ならいいだろ』
Aとは反対に、男は意味もなく突然電話をかけることが大半だった。
そして、今回も話を広げる前に『じゃあな』と一方的に通話を切られてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
