十 ページ10
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「ただいま戻りました」
「おう、おかえり」
土方の部屋に入れば、珍しく沖田もそこにいた。
Aの姿を見て、Aの隣に座り直した。
「結局、あの男性はどうなりましたか」
「逮捕に決まってんだろ」
土方は投槍にそう答えた。
そのまま男に被害者の様子を聞かれ、報告へと移る。
土方は小さく頷きながら、Aの目を見ていた。
隣からも真っ直ぐな視線を感じる。
「また明日屯所に来てくれるそうです。その際また話を」
早口になりながら言葉を紡ぐ。
話を一通り終え、着替えに戻ろうと立ち上がった時、
「待て。まだ終わってねえ」
土方はAを止め、座るよう促した。
それとともに沖田がAの足を掴む。
「何して」
「靴下脱がすだけでさぁ。じっとしてなせえ」
少し先が赤いそれをとられ、足が空気に触れる。
そのまま消毒液の染みた綿を当てられ、顔を歪めた。
「無理しやがってぃ。痛いって泣けばいいもんを」
「泣きませんよ。子供じゃあるまいし」
沖田に馬鹿にされながらも、大人しく身体を預ける。
土方はふうと大きく溜息をついた。
「お前、被害者の前で平気な顔してたんだって？」
総悟に聞いた、と呟く。
沖田は不満そうに土方を見た後、救急箱から包帯を取り出した。
「平気な顔というか…あんな不安そうな顔を見たらそんなことできないなって」
そう言うと土方は満足そうに笑みを浮かべた。
「力や剣術の腕だけが強さじゃねえ。
お前の、被害者を思う気持ちもその行動も強さだ。
だから、自分が出来損ないと思い込むんじゃねえぞ」
どくん、と心臓が大きく高鳴る。
それとともに胸につかえていた不安や辛さが、一気に流れていくような気がした。
「俺には、被害者にあんな風にいい顔できねぇ」
沖田は包帯を結びながら、顔を上げずにそう言った。
少しだけ痛む足で部屋へと向かう。
扉を開ければ、布団に座り込んだ千影がAを見て、すぐに立ち上がった。
「おかえり」
「ただいま」
部屋に戻るなり、千影に抱きしめられる。
「A、凄くかっこよかったよ」
巻かれた包帯を見て、悲しそうに笑った。
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Nattu(プロフ) - 早桃さん» 初めまして‼︎ｺﾒ嬉しいです〜ありがとうございます;;ゆったりまったり続けていきますのでお付き合いいただけたらと思います。最高と言っていただき凄く嬉しかったです;;; (2022年4月5日 23時) (
レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 最高です、、、！本当に面白くて、土方さんとこれからの進展が楽しみです。いつまでも応援しています😌 (2022年4月2日 12時) (レス) @page30 id: 636f4996a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2022年2月15日 22時
