◇ 47. ページ47
「大人になったなあ！」
相葉先生は、わたしを見て嬉しそうにそう言った。
懐かしい保健室は、あの頃のまま。
「成長って早いなー」
大野くんは、ちょっと居心地悪そうにベッドに座ってる。
「大ちゃんとこれからまた一緒のとこ通えるんだね」
「はい」
「よかったよかった、大ちゃん毎日昼ごはんも食べずに勉強してたから」
「余計なこと言うなって」
大野くんがむすっとしてる。
「先生」
「ん？」
「大野くんのこと、毎日見ててくれてありがとうございました」
先生が居なかったら、今の大野くんは居ないから。
そう言うと先生がニッコリ笑う。
「俺は何にもしてないよ」
「感謝してます…大野くん素直じゃないけど、先生にすごく感謝してると思います」
ね？って大野くんに言うと、むすってしたまま何にも言わない。
「まるで大ちゃんの母みたいだね」
そう言って笑って、
「大ちゃん」先生が大野くんを呼ぶ。
「Aちゃんのこと、ちゃんと守るんだよ」
「……」
「絶対、大事にしろよ？」
「…んなの、相葉ちゃんに言われなくてもわかってる」
いつまでも先生に素直じゃない大野くん。
わたしと先生は、顔を見合わせて、笑った。
学校を出て、手を繋ぎながら大野くんと懐かしい路地を歩く。
「懐かしいなぁ、毎日ここ通ってたなぁ」
「……」
「先生も相変わらずだったし」
「……Aちゃん」
ん？
振り返ると、やけに真面目な顔した大野くんと目があった。
「すきだよ」
「……」
突然の言葉。
理解するのに数秒かかった。
「……どうしたの、急に」
冗談かな、ってわたしは笑うのに。
「……待たせてごめんね」
大野くんは、なぜか泣きそうで。
「おれ、Aちゃんに迷惑かけてばっかで、ごめん」
「……」
「不安にさせて、ごめんね」
「……」
「Aちゃん」
大野くんが、照れ臭そうに、わたしを見た。
「すきです、おれと付き合ってください」
わたしが高校を卒業して。
毎日電話もしたし、色んなところに出掛けたし、キスだってしたけれど。
うん、そうだね。
わたしたち、まだ付き合ってなかった。
そばにいるだけで、必死だったね。
「……ふふ」
「……何笑ってんの」
「……今更だなって」
「……返事は？」
へんなの。どうして不安そうなの？
返事なんて、決まってるのに。
「これからも変わらず、大好きです」
ねえ、ずっとそばにいてね。
あなたが居るだけで、世界はカラフルになる。
大野くんが嬉しそうに笑った。
- Fin -
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
