◇ 45. ページ45
「すきになって、ごめんね……」
「………」
「わたしのせいで、苦しかったよね、ごめん」
ぎゅうってするたびに、涙が滲む。
大野くんの表情は見えない。
何も言わないまま、大野くんはそっとわたしの背中に手を添えた。
「……初めて見たとき、色のない人だと思った」
「……」
「春の中に、ひとりだけ、モノクロの人がいる…って」
「………」
「………大野くん」
悲しい恋になんか、しないから。
大野くんの過去も、悲しいものになんかしない。
「モノクロの春は、もう終わったよ？」
「………」
「もうすぐ夏が来るよ」
「……」
「夏は、花火とか、海とか行きたいね」
「……」
「夏が終わったら、秋は文化祭があるよ」
「……」
「冬は、クリスマスパーティしたい、年越しも一緒にカウントダウンしよう」
「…」
「冬が終わってまた春が来たら、一緒にお墓参りに行きたい」
「…、……」
「毎年、一緒に行きたい………」
忘れなくていいよ。
桜が咲いたら、あの頃の恋を思い出そう。
ぎゅ、って大野くんの手に力が入る。
ああ、泣いてる。
大野くん。
「ほのかちゃんとの思い出は、死ぬまで大野くんの一部だから、忘れちゃだめだよ」
「…、っ…」
「忘れることが、前に進むことじゃないから」
「、…ぅ」
「わたしを見て、思い出してもいいよ。……ほのかちゃんとの思い出、また聞かせてね」
「………Aちゃん」
悲しい恋になんか、しない。
わたしはわたしの恋と向き合うよ。
だから、待たせて欲しいの。
いつか、いつかね。
同じ未来を描きたい。
「おれ、たぶんまた、傷付ける……」
「うん」
「一緒にいるだけで、Aちゃんを傷付ける……」
「うん」
「けど……そばにいたい……」
わがままでごめん、と大野くんは消え入りそうな声で言った。
「………どこにも行かないでね」
大野くんはわたしに「好きだよ」とは言わなかった。
だけど嘘のないあなたが嬉しかった。
いつか、あなたとわたしの恋が報われますように。
ふたりで抱き合いながら、微笑んで、泣いた。
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
