◇ 44. [7/4] ページ44
「……ああ、おれ、寝てた、ごめん」
「わたしこそ……待たせてごめんね」
「や、つーか俺、ホームルーム出てないし」
「え？！」
「終業式終わって、そんままここ来たから」
そんまま、って……
終業式終わって、1時間くらい経ってるけど！
「ごめん………」
「んん？なんで謝んの？」
謝るわたしを、大野くんが笑う。
寝起きだから、ふわふわ可愛い。
「あー……よく寝た」
ゴシゴシと自分の目を擦った手を見て「ん？」て言ってる。
「なんか濡れてる」
「………」
「おれ、泣いてた？」
「……うん」
正直に頷くと、うわまじか、と照れ臭そうに頭を掻いた。
「……悲しい夢でも、見た？」
「……んー」
なるべく暗くない声で、そう聞いた。
大野くんがチラッとわたしを見て、言ってもいいのかなって顔で小さく微笑んだ。
「Aちゃんが、死んじゃう夢」
「………え」
「れんげ畑に、横たわってるの」
れんげ畑は、大野くんとほのかちゃんの思い出の場所。
鮮やかな紫色のレンゲが咲き誇る、きれいな場所。
「で、おれがすげえ泣きながら、抱きしめてんのね」
「………」
「そしたら、そこにほのかが来てさ……」
「……」
「智、って呼ぶんだ」
大野くんの穏やかな声に、鼻の奥がツンとした。
泣きそうなわたしを、大野くんが見て微笑む。
「あいつなんて言ったと思う？」
「………」
「いつまでもチンタラ生きてんな、って怒り出してさ」
「、……」
「過去に縋り付いて、大事なもの見失わないで…って」
俯いて、愛おしそうに、笑って。
わたしをチラリと見て、悪戯っぽく口元を上げた。
「俺、自分に都合のいい夢みてるでしょ？」
「……、…」
「んふ、なんでAちゃんが泣くの？」
「泣いてないっ……」
大野くん。
ほのかちゃんは、素敵な女の子だったんだね。
たぶん、心から大野くんを好きだった人だよ。
「ぉ、わっ……」
気がつけば、身体は勝手に動いてた。
大野くんを抱き締める。
愛しくて、どうしようもないくらい大好きで。
言葉でなんか、伝わらない。
「Aちゃん……？」
ぎゅうーーって、ぜんぶ。
大野くんの苦しみも悲しみも寂しさも、全部、抱き締めたかった。
「おおのくん、…」
「……ん？」
「すきだよ……っ」
すきだよ。
あなたがいない世界なんて、もう考えられない。
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
