◇ 41. ページ41
「Aちゃん」
「……うん」
「どの面さげて、って思うかもしんないけど」
「…うん」
「一緒に居てくれたこと、すげぇ……感謝してる」
「……、うん」
「ありがとう、嬉しかった」
大野くんと会わなくなって。
沢山沢山、自分の行動を後悔した。
あの日、お弁当を作るなんて言わなきゃよかったとか。
過去なんて探らなければよかったとか。
好きにならなければよかったとか。
それ以前に最初に、駅で名前を聞かれた時、無視すればよかったとか。
絶望的な恋を、沢山恨んだ。
だけど、今大野くんが「ありがとう」って「嬉しかった」って言ってくれただけで、もう、いいや。
どうせ好きになる運命だったよ。
間違いなんて、なかったよ。
「わたしこそ、………」
大野くんが、わたしを見る。
揺らいだ瞳が、"わたし"を見た。
「一緒に居れて楽しかった」
「……」
「早起きしてでも、大野くんにお弁当作りたかったんだよ」
「……」
「………大野くん、わたしね」
言おう。
好きだって、言いたい。
迷いなく、この時そう思った。
おかしいって思われていいよ。
卑怯だって言われてもいい。
これがほのかちゃんを利用した行為だと、思われていいよ。
それでも言いたい。
「わたし、大野くんが……」
喉まで出かかった言葉。
その言葉は、突然の騒音にかき消された。
「A！」
ガラガラっ、と突然ドアが開いて、クラスの女子たちが流れ込んできた。
「勝ったよ、準決勝！」
「ええ！ほんとに？」
「それより足大丈夫！？」
みんな、嬉しそうに、心配そうに、わたしのとこまで駆け寄ってきてくれた。
大野くんが立ち上がる。
「あ……」
目があうと、彼は申し訳なさそうに微笑んだ。
「俺も、そろそろ戻らなくちゃ」
「……うん、ありがとね」
大野くんが保健室を出て行く。
「……ごめん、邪魔した？」
苦笑いのみんな。
やっちまった？って顔が可笑しい。
「ううん全然！それよりすごいね、勝ったの！？」
「もーギリギリだったよー」
「決勝戦、A出れないよね？」
「うん、迷惑かけてごめん……」
「いいのよ、全力で応援しなさいよ？」
「もちろん！」
よかった。勝ったんだ。
みんなのキラキラした笑顔が、嬉しかった。
みんなが騒ぐ中、ちーちゃんと目があう。
ちーちゃんは、バツの悪そうに微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 340人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
