◇ 36. ページ36
ちーちゃんには、全て話した。
大野くんの過去のこと。
ほのかちゃんはもうこの世にいないこと。
わたしが、ほのかちゃんにそっくりなこと。
そんなわたしが、大野くんのそばに居るのはおかしいと、責められたこと。
「Aは、もしほのかちゃんが生きてて、幸せそうに笑う大野くんと出逢ってたら、好きにならなかった？」
ちーちゃんが、わたしに、問う。
そんなことない。
どんな大野くんでも、きっと好きになったよ。
確かに最初の入り口は、「色のない彼が気になったから」。
だけど、好きになったのは、そんな同情染みた理由じゃなくて。
例えば、笑う時の目尻のシワとか、照れた時にとんがる唇とか、
美味しそうお弁当をたべる横顔とか、
すやすや気持ち良さそうな寝顔とか、
一緒にいる空気感とか。
もっと、漠然とした、幸せなものだった。
きっとほのかちゃんが生きて大野くんの隣にいて、叶わない恋になってしまっても、わたし大野くんを好きになったと思う。
「どうしてAが誰かに遠慮するの？」
「………」
「Aには、好きな人を好きでいる権利もないの？」
諦めたはずの想いが、ぐらぐらと揺れる。
まっすぐなちーちゃんの目が、うれしかった。
「恋から逃げないでよ、A」
泣きたいくらい、うれしかった。
「………ちーちゃん」
「ん？」
会わなくなって、1ヶ月が過ぎて。
保健室にも行かなくなって、教室からグラウンドも見なくなって。
廊下や、駅で見かけても、見ないふりをした。
それでも、大野くんを考えない日なんてなかった。
「……翔ちゃん、怒るかな」
「………」
「グラウンド、間違えたって言ったら、許してくれるかな」
わたしの言葉に、ちーちゃんがニコリと笑う。
「大丈夫、翔はそんな器の小さい男じゃないから」
西グラウンドに行くと、沢山の女子ギャラリーが集まっていた。
1年生に限らず、3年の先輩たちまで。
「大野くんがんばってー！」という凄まじい声援が飛び交う。
「大野くんどこいる？」
背の小さいちーちゃんが背伸びをして探してる。
私はたぶん、見つけるのに2秒もかからなかった。
「……」
コートの中、サッカーボールを追いかけて走る大野くん。
久々に目を背けずに見た彼の姿に、心臓が飛び出すくらいときめいた。
ユニフォーム、似合うね。
背は、みんなより小さくて。
ああ、やっぱり。
すきだなぁって。
泣きそうになりながら、彼の走る姿を見ていた。
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
