◇ 25. ページ25
その日から毎日、大野くんと一緒に屋上でお弁当を食べた。
いろんな話をした。
小学校のときどんな子だったか、とか
中学ではなんの部活してたか、とか。
大野くんは、絵が好きらしい。
中学では美術部に入ってたけど、あまりにサボりすぎて退部になった話には笑った。
「大野くんっぽい」
「だってコンクールとかあったんだよ？面倒くさくて一回も出してない」
「あは、清々しい！」
それから、ほのかちゃんの話も沢山してくれた。
ほのかちゃんは、あまり学校に行けなくて馴染めなかったこと。
そんなほのかちゃんを連れて、いろんなところに行ったこと。
「たとえば？」
「近所にレンゲ畑があったから、よくそこでサボったり」
「青春だねー」
「あと海にも行った、チャリぶっこいで」
やさしい表情をして、ほのかちゃんとの思い出を話してくれる大野くん。
「それだけ一緒にいたのに、それでもお互いに好きって言えなかったんだね」
「んふふ、うん、まぁ、お互いっつーか、俺が、でしょ」
「ほのかちゃんもきっと、同じ気持ちだったよ」
「どうだろ、あいつそういうの全然言わなかったから」
ほのかちゃんもきっと、大野くんを好きだったと思う。
……なんとなく、わかるの。
想いが溢れてしまいそうなのを、きっと閉じ込めるのに必死だったと思う。
会ったこともない、自分に似てるセーラー服を着た女の子を思い浮かべて、胸がきゅう、と鳴った。
「元気にしてっかなぁ……」
大野くんが空を見上げる。
目に沁みるくらい青い空。
心地よい風。
春が、終わってく。
もうすぐ、夏が来る。
「元気だよ、ぜったい」
「………」
「あの雲の上でいつも大野くんのこと見てるよ」
「……んふふ」
「……なによ」
「Aちゃんって意外とロマンチックだね」
そう言ってわたしを見た大野くん。
「……」
「……」
……もう、慣れたけど。
いつも、大野くんのわたしを見る目が、2秒だけ止まっちゃうの、知ってる。
何事もなかったように視線を逸らすの、知ってる。
……大野くんは、わたしと居て苦しくないのかな。
もうこの世にいないだいすきな人を思い出して、胸が痛くならないの？
大野くん、いま、何考えてる？
誰を見てるの？
そんなことをぐるぐると考える日々が続いた。
ある日の放課後、廊下でバッタリ相葉先生に会った。
「Aちゃんだ！」
「お久しぶりです」
「帰るの？」
「はい」
「今さ、ちょっと時間ある？」
はい？
ニコ。先生が笑った。
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
