◇ 17. ページ17
「あいつがいなくなって、俺なんにも出来なくなってさー」
大野くんの声が、知らない人みたい。
「生きてる心地すらしなくて、ただ死んだように生きてた」
笑ってる大野くんは、やっぱり泣いてるみたいに見えた。
「……そう、なんだ」
なんて言ったらいいのか分からず、ただ黙って聞くことしかできない。
大野くんは、申し訳なさそうにまた、謝る。
「ごめん」
「……」
「こんな話されても、って感じだよね」
「いや、」
「そっくりなんだ、あいつに」
「……」
「Aちゃん」
うん、知ってるよ。
ちらりとわたしの表情を伺うように見る大野くん。
「……」
「…や、よく見たら、そんな、似てねーんだけど」
「……」
「…死んだ人に似てる、とか、反応困るよね」
ごめん、と謝る彼の、痛々しい笑顔に目を背ける。
「……そんなこと…」
「…」
「……」
そんなことない。って
わたしははっきり言えないんだ。だってわたしはわたしだから、
何を言っても、正解じゃない気がした。
「最初、頭ん中混乱して、名前とか聞いちゃって…」
「…」
「ビックリしたよね？」
「…うん」
「ナンパ？とか聞かれて、まじ焦ったもん」
「……ふふ、ごめん」
「ううん」
あの時は、この人何考えてるんだろうって思った。
だけど今、すべて繋がって
すっきりしたような、だけど探るようなことをしたこと、やっぱり後悔した。
「……大野くん」
「ん？」
大野くんは、きっと想いを伝えられなかったこと、一生後悔しながら生きて行くんだろうな。
でも…
でも、ね。
「……ほのかちゃんも、きっと大野くんのことすごく大事に思ってたよ」
「……」
「きっと絶対そうだったと思う」
「……うん」
ずっと、毎日、そばに居てくれる人を
大切だと思わない人は居ないと思うの。
「だからね、大野くんが悲しい顔すると、ほのかちゃんも悲しいよ」
「……」
「……ちょっとずつ、前に進めるといいね」
この1年、彼はどんな思いで生きてきたのかな。
ずっとそばに居たのに、告白できなかったのは、たぶんお互い、分かっていたから。
想い合えていることに気付いていたから、言えなかったんじゃないのかな……？
もし結ばれたら、別れが何倍もツラくなる、って。
わたしならきっと、そう思う。
「……ありがと、Aちゃん」
ほのかちゃんが残したかったのは、後悔じゃなくて、
大野くんの未来だと思うの。
.
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
