◇ 14. ページ14
「あれ大野くんじゃない？」
ちーちゃんがグラウンドを指差す。
放課後、翔ちゃんの補習が終わるのを待つちーちゃんと教室に残っていた。
「どれどれ？」
「あれあれ」
「……ほんとだ」
大野くん、サッカーしてる。
「てかあれ、サッカー部に混じって遊んでるんじゃん？」
「だね」
一回りくらい大きな体格の男子と、サッカーボールを追いかけて、ケラケラ笑ってる。
大野くんが、あんな風に友達とはしゃぐ姿を初めて見た。
「やーんかわいいー大野くん」
「……てか周りにギャラリー居すぎでしょ」
「Aも大野くーん！って呼んでみれば？」
「…ムリだし！」
ちーちゃんが「やっぱ断トツイケメてるねー」って観察してる。
「そういえば、相葉先生になにか聞けた？」
「……ううん」
「なんにも？」
「…うん」
「そっかあ」
窓から入ってくる風が心地いい。
運動部の掛け声とか、遠くからブラス部のチューニングの音。
大野くんはコケた友達を見て笑ってる。
「……ちーちゃん」
「んー？」
あんな風に笑いながら、みんなに愛されながら、忘れられない人を想って一人で泣いてるの？
「わたし、大野くんのこと、」
「……」
「…好きかどうか、わかんないけど」
「…わからんのかい」
「けど、そばにいたい」
「……」
「一人にしたくないの」
キーーン
野球部が金属バットでボールを打つ音が響いた。
大野くんが足を止めて、空高く飛んだそのボールを目で追ってる。
その小さな背中を、守りたいって思うの。
「……ほんと鈍感ー」
「…」
「そういう気持ちを「恋」っていうんじゃないの？」
ちーちゃんが、眉をさげて笑った。
「ちー、ごめん！」
翔ちゃんが教室へやってきて、ちーちゃんが「おそーい」って言った。
「中々終わらなくてさー」
「帰りになんか奢ってー」
「もちのろんー」
バッグを持ったちーちゃんが、わたしを呼んだ。
「A？途中まで一緒帰ろうよ」
「……あー」
「翔ちゃんがなんか奢ってくれるよ？」
「おうよ」
「……いや、わたしもう少し残るね」
ちーちゃんはキョトンとした後、
「わかった、じゃあ明日ね」と手を振って帰って行った。
「……」
あっさり帰ってったな。
ちーちゃんは勘が鋭いな。
窓の桟に肘をついて、もう一度グラウンドを見た。
「………」
身体が、固まる。
大野くんが、こっちを見てる。
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
