◇ 13. ページ13
保健室から戻る途中、相葉先生の言葉を何度も思い出してた。
アイツの闇は大きいよ？
それでも力になりたいって思う？
彼の闇は、どこまで深いのかな。
そんなの想像出来なくて、ただ「色をなくした」大野くんの姿を思い出して、胸がチクリと痛んだ。
「あれ？」
廊下をすれ違った女子生徒が、わたしの顔を見て立ち止まる。
「…え？」
ショートカットで、大きな瞳の女の子。
上履きの色はブルーだから、大野くんの学年の子だ。
「…あっ、ごめんなさい、知り合いに似てたから」
ドクン。
心臓が飛び跳ねる。
彼女が小さくお辞儀をして、そこを去ろうとした。
「っまって…」
彼女の腕を咄嗟に掴む。
びっくりして振り向いてる。
「…あの、その知り合いって」
「え…？」
「もしかして、……ほのか、ちゃん？」
彼女の瞳が大きく見開いた。
「…どうしてほのかを……知ってるんですか？」
「…」
きっとほのかって人は、大野くんの大切な人だった。色をなくすほど、大切な人だったんだ。
「ほのかの知り合いですか？」
「……ううん、顔も知らない」
彼女が、え？と不思議そうに眉を顰める。
「……その、ほのかちゃん、は…」
「…」
「いま、どこにいるの……？」
きっとね、
そうなんじゃないかなって、心の何処かで思ってた。
「……ほのかは、もういません」
「……」
「…一年前の春、病気で亡くなりました」
ああ、春。
だから、春はきらいだったんだ。
あの日、桜の木を見つめていたのも
わたしを驚いた目で見たことも
わたしをほのかと呼んだことも
色んなことが全て繋がって、鼻の奥がツンとした。
「……そう、なんだ」
わたしが泣きそうになるのは、おかしい。
絶対に絶対におかしい。
「あ、あの…」
彼女がわたしを見てる。
「ごめんね、引き留めて」
「いえ、」
「……」
「…もしかして、智と知り合いですか？」
ほら、「ほのか」の話をしただけで、
大野くんの名前が出てくる。
「うん、少しだけ」
「……そうですか」
「……うん」
サツキーー、向こうから女の子の声。
どうやら呼ばれたのは彼女だったみたい。
「すみません、じゃあ、行きますね」
「うん」
さつき、ちゃんが、パタパタと走っていく。
誰と話してたの？
うん、ちょっとね、と声が聞こえてきた。
“ これからアイツのそばに居てやってくれる？”
「……」
わたしは、大野くんのそばに居ていいのかな。
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
