◇ 12. ページ12
村田さんが保健室を後にすると、閉められたカーテンの向こうでもぞもぞ動く音がした。
「……起きてたの？大ちゃん」
シャ、とカーテンを開けると、ぼーっと天井を見上げたままベッドに寝転ぶ大ちゃん。
「……俺がいるの分かってて生徒の相談のるなんて教師失格だろ」
「俺は教師じゃなくて保険医」
「……」
「まあ分かってたからね？大ちゃんのこと聞かれるって」
大ちゃんがチラリと俺を見て、ゴロンと横向きになった。
「でもほのかの名前が出てきたのには驚いたな」
「……」
「似てるの？あの子」
聞こえてるくせに俺の質問に無反応。
俺はため息をついた。
「あの子、大ちゃんのこと好きなんじゃない？」
「…」
「今は違くても、いずれそうなる気がする」
「………だよ」
「え？」
大ちゃんがなにか呟く。
「すげえ、似てんだよ…」
「……」
その声は弱々しく、胸に切なさが走った。
「最初見たとき、びっくりした」
「…」
「なんで居んの？って」
「…」
「…けどよく見たら、全然違った」
「……」
「声も、喋り方も、全然ちがう…」
顔は伏せてて見えないが、
泣き出すんじゃないかと不安になるほど声は震えてて、蹲るように丸めた身体はいつもより小さく見えた。
「…」
大ちゃんがまだ入学する前に、学校側から言われた言葉を思い出す。
「恋人を亡くした生徒が入ってくる。キミに彼のケアを頼みたい。」ってね。
「……大ちゃん？」
「…」
きっと村田さんという存在で、よりリアルに「ほのか」を思い出したに違いない。
彼女を今の大ちゃんのそばに居させるのは、酷かもしれない。
だけど
「俺を頼っていいんだよ？」
「…」
だけど、俺は
あの子の強い瞳を、大ちゃんの悲しみに気付いたあの子のことを、信じたいと思ったんだ。
「大ちゃんは一人じゃないから」
「…」
「いつでも俺が駆けつけるから」
「…」
「なにからあったら必ず言うんだよ？」
俺の言葉に彼はふふ、と笑って
「…ありがと」
って言った。
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
