◇ 11. ページ11
「どどどどう思ってるって…！？」
「好きなの？」
「ええっ」
先生は茶化すわけでもなく、ただ優しい口調でそう聞いてくる。
「す、好きとか…そういうんじゃなくて」
「うん」
「ただ…間違えられて」
「え？」
「……大野くん、寝ぼけてわたしのこと「ほのか」って呼んだんです」
先生の目が大きく見開かれる。
ああ、疑惑だったことがどんどん確信になっていく。
「……彼、いつもなんとなく上の空ってゆーか、心ここに在らずってゆーか…」
「……」
「…もしかして、そのほのかって人が、関係してるのかなって」
相葉先生の真剣な目。ちょっと怖いくらい。
「こうやって、本人のいないところで探るみたいなこと、ほんとはしちゃいけないと思うんですけど」
「うん」
「だけどどうしても…気になって」
「うん」
「出来ることなら、何か力になりたいって思うんです」
自分の気持ちが、どんどん鮮明になっていく。
わたし、「興味ない」って言いながら、
大野くんのこと知りたくて、助けたいと思ってた。
だって聞き流してたはずの噂話は、鮮明に私の中に残ってる。
「だけど本人に聞く勇気もなくて」
「…」
「先生なら何か知ってる…かなって」
「そっかあ…」
ふんふん、って相葉先生が相槌を打った。
「村田さんの気持ちはよーく分かった」
「…」
「……けどね」
先生の声はとても優しい。
先生はふわりと微笑む。
「俺から詳しいことは教えてあげられない」
「……」
「秘密を守ることは先生の仕事だから」
はっきりとした口調で先生は言った。
だけど先生は、知ってるんだろうな。
大野くんの過去を。
「だけどこれだけ言わせてもらうね」
「……」
「アイツの闇は大きいよ？」
「……」
「それでも……力になりたいって思う？」
鳥肌が立った。
背中がヒヤリとして、急に怖くなる。
「……わたし」
「…」
「……彼が何処かへ消えちゃうんじゃないかって」
「…」
「不安で……」
言葉が出ない。
力になりたいって思ったのに、わたし怖気付いてる。わたしになにが出来るんだろう。
何も出来ないかもしれないけど…
じゃあ誰が大野くんを助けるの？
「……村田さんならきっと大丈夫だな」
「え？」
先生が何かボソッと呟いた。
「これからアイツの傍に居てやってくれる？」
分からない。
色々なことが分からないけど、
先生はきっと、わたしが頷くしかできないこと
分かってたんだ。
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ヤノ(プロフ) - 。さん» ありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いコメント…！そう言っていただけただけで、書いた価値がありました(´;ω;`)感謝です。 (2016年7月6日 19時) (
レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - なったんさん» ありがとうございました(´;ω;`)！相葉先生の存在は物語的にも本当に大きかったです…！本当は大好きなのに照れて素直になれない智(-_-)（笑）亀更新にも関わらず、見捨てずに見に来ていただいて本当に感謝です、いつもありがとう！！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 煌さん» 無事に完結できました（涙）そう言ってもらえて本当に本当に励みです…！こちらこそ、見届けてくださって本当にありがとうございました！いつも温かいコメント感謝です(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - きゃんでぃぶるーさん» ありがとうございます…！不器用ながらも何とかくっつけた2人でした（笑）次はどんなの書こうかなーと悩み中です(*'v`*)またぜひ遊びにきてください！コメントありがとうございました(´;ω;`) (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
ヤノ(プロフ) - 麻衣さん» 最後まで見届けてくださってりありがとうございました…！結末を皆様が受け止めてくれるか不安でしたが、すぐに麻衣さんからコメントが届きホッとしました(´;ω;`)またぜひ遊びにきてください！ (2016年7月6日 19時) (レス) id: bcc3fbaed6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤノ | 作成日時：2015年9月4日 0時
