2:僕らヤンデレ芸人やってます。 (ページ5)

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下田「ごめんなさい、俺そろそろ出ます。明日収録なんでネタ合わせするんです。」

少し頭を下げて身支度をすると何か合点があったようにAは話しかけてきた。

『だからお酒呑まなかったんですね！収録頑張って下さい！！』

そして笑顔で手を振ってきた。

下田「……東京来たときは連絡入れるから。今度サシで呑もうや。」

そう言うとAは花が咲いたように笑った。

『是非よろしくお願いします！楽しみにしてますね！！』

いつまでも手を振ってくるAと少し手を振ってくれた粗品さんを後に店を出た。

　
　
　
　
　
　

　

　

　
　

　
　
九条「な～にニヤニヤしてんねんキショイなあ。なんか良いことでもあったん？…なんでもええけどネタに集中してや。」

ネタ合わせの最中ずっと下田が心ここにあらずでなかなか進まないことに苛立ちを覚える。

下田「前のマンゲキのかまいたちさんがおったときのライブ覚えとる？」

九条「それがなんやって言うねん。」

下田「そんときのマネージャー。一瞬で堕ちたわ。」

九条「マネージャーがお前に堕ちたん？最悪や、ぼちぼちやけど素朴な感じで可愛いかったのに。その子悪趣味やし見る目ないわあ。」

下田「逆や逆。俺がや。」

ボクは思わず目を見開いた。

九条「はっ！？下田が！？……珍しい、俄然興味湧いてきた。」

そう言うと下田は胸ぐらを掴むような勢いで近づいて来た。

下田「ほんまに冗談でも笑えん。俺絶対あの子と一緒になる。」

下田の真剣な顔なんていつぶりに見ただろう。

九条「冗談が通じんなあ、下ちゃん。芸人向いてへんとちゃう？」

ボクがふざけたように話すと下田は不機嫌そうにそっぽを向いた。

下田が惚れるような相手なんて気にならん訳ないじゃん。

九条「うわあ……ボク今絶対悪い顔してる……。」