【妖怪ウォッチ】逃げられるかな？【ヤンデレ】【大やもり】【短編】

夢 ページ3

“僕の…せい…？”

震える声でそう聞くと、

僕より震えた声でAは叫んだ。

“そう…っ！

大やもりが…離れて行く夢を見たのっ！

私…悲しかった…”

ナイフを取り落とし、その場に蹲るA。

乾いた音を立てて、転がるナイフ。

“そんな…僕、そんなこと、しないよ？”

そう言って、そっと背中を撫でる。

“…僕は、Aのことが大好き。

絶対に離れない。

だから…危ないから、ナイフは＿＿＿”

カラン。

ザシュッ。

“え…”

次の瞬間には、肩をナイフが貫いていた。

“い…た…っ”

ナイフを抜き、Aと反対の方に投げる。

肩をギュッと抑えても、止めどなく流れる血。

頭が真っ白になり、クラクラしてきた。

“じゃあ…一緒に「あっちのセカイ」で過ごそうよ…

悲しみのない…終わらない…

一生、共に過ごせるセカイに…っ！”

僕をギュッと抱きしめたAは、泣き出した。

ぽろぽろと零れる涙。


僕の肩に、一粒の涙が落ちた時。

“そう…こんなことしていたら、駄目。

大やもり…行こう…

いこうよ、あっちのセカイに。

一緒に、逝こう？”

“ッ！？”

そう言ったAの瞳に光は無く、

ユラユラと揺らめく“ナニカ”があった。

“「今、ここに居ちゃ駄目っ！」”

僕の中で、何かがそう告げる。

“ご…ごめん…っ！”

君をドンッと押し倒し、

一心不乱に駆け出した。

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