【続】転生したら推しの飼い猫とかハードルが高すぎる【stpr】

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夢主side


「と、取り敢えず座ってください…」

「あ、はい…」

なんとなく気まずい雰囲気の中恐る恐る椅子に腰掛けた。

「さっきも言ったけど本当にAなんですよね…？それにしてもなんで猫が人間に…」


迷った。とても迷った。私の前世を話すか否かで。

猫が人間に。なんて意味のわからない話を信じてくれたから…とも思ったが、いかんせん私は前世で彼のリスナーをやっていたのだ。その上何故か違う世界線な気がする。アプリの名称が違っていたり、日にちがずれていたりだとかの些細な変化だけなのだが。

リスナーだという事を伝えたら…一体彼はどんな反応をするのだろう。嫌われたりしたら…なんて考えてしまいなかなか言い出せない。だから、まずその話を取り除いた話をしようか。と考えた。


「あれは、雨の日のことでした___ 」


ひとつひとつ。あの日の記憶を思い出す。



.




「あの日、友人と帰路を辿っていたら雨に打たれて一匹寂しく歩く猫を見つけて…。そしてそのあと轢かれそうになっていたものだからつい、走り出していたんです」

「その時Aは人間だったんですか？」

「ええ。しかも今の姿とは似てもつかない黒髪ショートでしたし。まあ、それは置いといて。で、走り出したんですけど当たりどころが悪かったのか猫は救えたんですけど私はダメ、だったみたいで…」


私があちらからいなくなってしまったあと友人達は、両親は、何を思ったんだろうか…。私にはやり残したことだってやりたかったことだってまだまだ沢山ある。明日は誰にでも平等に訪れるものだと…信じていたのに。

.


自分が死んだ時のその情景を思い浮かべることは案外私には耐えきれなかったらしい。気づくと私の頬に一筋の涙が伝っていた。


すると何を思ったのか彼は椅子から立ち上がりこちらに近づいてきて…



.




そして私のことを優しく、とても優しく抱きしめた。

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