闇夜叉物語～幕末編～ (ページ7)

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No.5 ページ7

交通事故から半年後の2016年8月10日の午後

千恵サイド

うち=千恵は今Aがいる病室の窓際にいる｡

外からはセミの鳴き声とお見舞いに来たであろうこどもの声が聞こえる｡

そして目の前には包帯で右顔面を覆われ､微動すらしないAと

Aの手を握り項垂れる真二がいた｡

多分うちもそうだけど真二､凄いやつれてる｡

「ゾンビ?」って聞きたくなるくらい｡

真二はねずっと「A･･･A･･･」って泣いてる｡

彼氏なのに守れなかったって悔やんでるんだね｡

大樹「ちぃちゃん､来たよ｡」
陽菜「ちぃちゃん大丈夫?なにか食べる?」

いつの間に来ていたのかでっかい男の子と色白のかわいい女の子が聞いてくれた｡

千恵「うん､うちはまだ大丈夫｡ただ･･･真二がね･･･｡」

大樹「あぁ･･･｡しん､お前大丈夫か?あんまり無理するなよ?無理して倒れたら元も子もないんだからな?」

確かに｡倒れちゃったら意味ないね｡

A･･･早く起きてよ｡そうしないと卒業しちゃうよ?

陽菜「ちぃちゃんも休んで?今は私たちが見ててあげるから｡」

優しいなぁ｡
陽菜も大樹も疲れてるって言うのに｡

うちは真二にそっと話しかける｡

千恵「真二･･･ご飯､食べにいこ?ほら､腹が減っては戦はできぬって言うでしょ?ね?」

真二はゆっくり頷いた｡

真二「そうだね｡いくか･･･飯｡」

その声はあまりにも抑揚がなくて恐ろしいものだった｡

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