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No.12 ページ15
5時30分過ぎ､無事精密検査が終わったが下された診断は主治医･加藤清正の予想した通り記憶喪失だった｡
加藤「彼女はまだ幸か不幸かまだまだ16歳です｡だから記憶が戻る可能性がないとは言い切れません｡」
A母「そう･･･ですか･･･｡」
Aの母が目覚めた喜びと記憶喪失であるショックとそれによる疲労とでよくわからない表情をしていた。
加藤「まぁ､定期的に診察をするので記憶はその都度見ていきますが･･･､お嬢さんの好きなものを食べさせてみたりしてはどうでしょう?」
加藤の提案に素直に頷くA母｡
しかしAには母の記憶も勿論なく､不安そうに辺りを見渡していた｡
その後Aは千恵､真二､大樹､陽菜の5人と一緒にいた｡
A「あの･･･ごめんなさい､名前を教えてください｡皆さんのと･･･私のと全部｡」
4人ともしばらく黙っていたが千恵がおもむろに口を開き､言った｡
千恵「うちの名前は千恵｡武藤千恵｡それでこの酷い泣き顔のこいつが長井真二｡その隣のかわいい子が田中陽菜｡その隣のでっかいのが増田大樹ね｡で､あんたが佐々木Aだよ｡」
A「私はA･･･｡」
千恵「そう､Aだよ｡覚えておいてね｡」
そういって千恵は悲しそうな笑顔を浮かべた｡
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作者名：さすらいの作者 x他1人 | 作成日時：2017年2月12日 22時
