病床に零れゆく蜜＜剣城優一＞ (ページ8)

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掴んで。ページ8

A:あ～どうしよう…！！

あたしは剣城くんの病室の目の前にいた。

病室に入るのに、こんなにドキドキするの初めてかも。

でも、リハビリの時間だし…。

あたしがお世話してあげないと…。

大丈夫。入れるわ！！

A:失礼します。

ドアを開けて、中に入ると、剣城くんは笑顔で迎えてくれた。

優一:あ、雨宮さん。

えっ…？

A:名前…。もう覚えてくれたの？

此れだけ多くのナースがいる中で、中々あたし達の名前を覚えてくれる人もそう、少なくは無いのだ。

優一:覚えましたよ。自分の担当の方なんですから、当然ですよ。

ニコニコしながらそう言う剣城くん。

A:有り難う。

名前を覚えてくれていたってことは…。

結構印象が好い方って事？

な、何期待してるんだろうあたし！！

優一:あの、リハビリの時間ですよね？

A:そ、そう！！そうなのよ！！

優一:すみません。ちょっと待ってて頂けますか？

A:大丈夫よ。あたしが手伝うし。

あたしは、剣城くんが病室からリハビリルームに出掛けられるように準備をしてあげた。

優一:有り難う御座います。

A:当然よ。仕事だし。

なんて…。

冷静に振舞ってるけれど、本当はドキドキのあたしです。

優一:後は、オレが移動するだけですね。

剣城くんが手摺を掴んで、立ち上がろうとする。

A:大丈夫？あたしに掴まって。

優一:はい。

剣城くんがあたしにしっかりと掴まる。

な、何か抱き合ってるみたい！？

A:だ、大丈夫よ！！大丈夫だから！！あと、もうちょっと！！

独りでそう言うあたし。

顔が熱いです！！

優一:はいっ…！！

剣城くんの吐息が耳にかかる。

A:ひゃっ…！！

優一:えっ…？

A:御免！！大丈夫よ！！

ちょっと…！！

い、今のは…！！

厭だ！！変な声出ちゃったっ…！！

やっとの思いで、剣城くんを車椅子に座らせることが出ました。

優一:あの…すみません…。オレ…。

A:好いのよ！！早くし無いとリハビリの時間が始まっちゃう！！

そう言ってあたしは、剣城くんとリハビリルームへと向かって行った。