魔天使マテリアル＊闇を奏でる少女＊

23 過去２ ページ32

真綾side


そうだ


私は二歳になったこの瞬間から、紗綾に負けていた


初めて紗綾に会った


のちにあった少女の顔とはほど遠いが


優しい綾香さんは、うちの母―真子―には優しかった


「紗綾ですって言ってるのよ？」


うちの母には、綾香さんは人一倍優しかった気がする


もちろん私にも―――


・


・


月日は流れ


当時の私には理解しがたかったのだが、
綾香さんが紗綾を連れてどこかへ行くことになった


泣いていた


笑っていた


泣き笑いって言うのかな


――綾香さん気をつけてね


そんなことを母が言っていた


うちの母が何かの重いレバーを下し


苦笑い


―――真綾


「なに？」


私は無垢な声で、こう答えたはずだ


そして、母は泣いていた


・


・


「真子！！お前は何をやっているんだ！！！
何もできない下等種族が！！！！」


下等……種族？


「真綾!!!!!こっちへ来なさい!!!」


私の周りに男爵たちが寄ってきて―――


・


・


母は、処刑された


そんなことを聴いた


・


・


そして九歳のころに知った


・


・


紗綾を逃がす門を開けるために、


私の母が逝ってしまったことに


・


・


何に当たればいいのかわからなかった


あの時に


あの言葉を


母の気持ちがわかった


・


何を糧にして生きていけばいいの？


・


・


そして、私は紗綾をこの手でつぶすことにした

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