見捨てなければ ページ27
ルシアは一先ずアレーとコレーにアルトの面倒を頼み隣の部屋に行ってもらった
部屋にはミノスとルシアの二人だけ
ミノスは再度言った
「ルシア様、絆されてしまったのでしょう?無理もないです。彼はあまりにも純粋ですから。」
「バカな!そんな事は…!」
ルシアは机を叩いてミノスに抗議した
しかしいつになくミノスはやや強気だった
「じゃあなんで火傷する程度の怪我も負わせないんですか。最初のナイフの件は怪我させましたけどその後は一切怪我させてませんよ!掠り傷一つ!」
「う…」
そう言われルシアは何も言えなくなった
それが事実だったからだ
「もう認めざるおえませんよ…あくまでも僕の推測ですが、怖がらせる事を通してルシア様がアルトの優しさに触れ、だんだん傷付ける事に抵抗が生まれた…違いますか?」
「っ…」
(図星だ…)
ルシアはそのまま項垂れた
(ミノスの言う通り、私はアルトの守護、そして契約破棄を促す為の行為…それらを通していつの間にか楽しいと言う感情が芽生えていた。しかしそれは許されない。魔界の支配者たる己にそんな事は許されない。そんな事をすれば漸く平和にできた魔界がまた絶望と動乱の世界へと戻ってしまう…それはいけない…それだけはダメだ!…それをミノスはわかっていっているのだろう。これは私の心配をしての忠告だ。)
ルシアはミノスをチラリと見た
「…どうすれば良いと思う?」
普段ならば絶対に聞かない
寧ろミノスに頼られているルシアの弱気な一言にミノスは一瞬動揺したが頼ってくれた主に情けない所は見せられないと持ち直した
「…一度、酷い目に遭わせるしかないと思います。それこそ、なんで助けてくれなかったんだと恨む程に酷い仕打ちを…」
「…見て見ぬ振りをしろと?」
「そういう事になりますね。あの村人達の事です。酷い仕打ちなどこちらが何か仕掛けずともやってくれるでしょう。ルシア様はただ見ぬ振りをしていればよいのです。契約破棄は、今後の魔界の為でもあるんです。」
「そうだよな…」
(ここまで自分が甘かったのだ…思い出せ、自分が何者なのかを。思い出せ、自分の立場を。思い出せ、自分の本分を!)
ルシアは立ち上がるといつになく辛そうな顔をした
「これが…正しいんだ。」
自分に言い聞かせる様に
自分の心を殺す様に
ルシアは部屋を後にした
「ルシア様…」
ミノスは己の発言を少し悔やんだ
今まであんなに楽しそうなルシアをミノスは見た事がなかった
しかしそれでは後々示しがつかなくなる
淡々と部屋を片付けながらミノスはこれが正しいのだと己の心に言い聞かせた
14人がお気に入り
「ファンタジー」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ