蛇竜は番犬に恋をする3

第百三十二魔（アスモデウスside） ページ43

「ダヴィデ、私は今日以降手を洗わないことにする。」

「何を仰るかと思えば本当に何を仰っておられるのですかアリス様！」

帰宅後、私はダヴィデにそう言い放った

「だって！だってあんな！」

今日あったことを思い出すだけで涙が出た
そう、あれはステージで不本意ながらも踊っていたときの事

「好き？どうかしら？見抜いてみてよ！」

(あー入間様もハドラも美しい……！)

アクシデントとはいえ女装して踊る入間様は最高だしハドラもまたその声は今まで聞いたことがないほどに綺麗だった
私とウァラクは端に移動して歓声に紛れて掛け声をかけたりしていた
ウァラクはともかく私は声で男とばれてしまうからな
そしてラストスパート

「おい、お前らもこい！」

小声でハドラに呼ばれ私達は入間様と同じ場所まで連れてこられた
そして

「ふりまわしてあげる♪」

(！？！？)

何が起こったのか一瞬わからなかった
目の前ではくろむと入間様がデビタッチポーズでキメている
中央ではウァラクがヘンテコポーズしている
そして私は……

ハドラとデビタッチしていた

「〜〜〜！？」

気絶しそうだったが堪えた
どうしてこうなった
ありがとうございます
いや何をいってるんだ私は落ち着け
チラとハドラを見れば口許だけ笑っていた
してやったりという意地悪で悪戯な微笑み
それが私の心臓をぶち抜くのには過ぎたものだった
開演後、私は何回もトイレで顔を洗ったのは言うまでもない

「……あのアリス様。その話だと顔を洗ったので手を洗ったのと同義になってしまうのでは……」

「〜〜〜！」

申し訳なさそうに言ったダヴィデに私は声なき叫びをあげた
しまったぁぁぁ！
私としたことがしくじった！
あー！
折角ハドラとデビタッチ出来たというのにその成分が……

「くっ、ふ、ぐぅぅ！」

「アリス様……」

「だがしかし！私は諦めん！いつかハドラを嫁に迎えるためにも日々精進せねば！」

「え？」

「え？」

首を傾げたダヴィデに私もまた首を傾げた

「どうしたのだダヴィデ？」

「いえ、その……アリス様はハドラ嬢の事を好いておいでなので？」

「……っあ！」

顔に全熱が集中する
しまったつい口が滑った！

「ダヴィデ……」

「はい。」

「今の事は忘れろ。絶対に忘れろいいな？」

「え。」

「い・い・な！」

「は、はい！で、では私はこれにて！お休みなさいませアリス様！」

そそくさと去ったダヴィデ
嗚呼好きだとも！
だからこそこんなにも胸が苦しいのだ……
その日、私は中々寝付けなかった

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「ハドラ家の令嬢……か。フム。」

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