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第35話 ページ35

「自分勝手」
『それそのまま返すわ』









「あたしはあたしの考えがあって
これが最善だって思っての行動です!」









『そんなん知らんし。』









「………。あたしの友達が大倉さんのこと性格悪いって言ってましたよ。」









『じゃあその子に言うといて?
あなたは俺の友達なの?俺の何を知ってるの?って。』









『…俺は分かってくれる子だけ
分かってくれてたらいいから。』









「……。」









『素直になればいいのに。』









困ったように笑いながら大倉さんは
あたしの手を取った。









「素直になるのが、怖いんです。
自分の選択が間違ってる気しかしなくて」









『そんなん誰だってそうなんじゃない?』
『初めての選択やったり、慎重になればなるほど
そんな気がしてくるもんやろ』









ごもっともな返し。
あたしほんとにこれでいいのかな。









『迷ってるのはAだけじゃないよ』









きっと大倉さんも。きっとそう。









『近づくのやめようって思って
やめられるもんなら、今こうなってない。』









暖かいあなたの手に掴まれたあたしの冷えた手。









貴方の手に、もう片方の手を重ねた時から今度こそ
"あたしたち" が始まってしまう。









『慣れたはずやのに、疲れてん。』
『自分に嘘つくの。』









本当に貴方を選んでいいの?
後悔はしない?…するのが怖い。傷つきたくない。









だけど。









「あたし自分の好きな人のことを
信じてみたいです。ちゃんと信じたい。」









「信じさせてくれますか」
『うん。』









そう言って大倉さんは、あたしのもう片方の手を
掴んで自分の手の上に乗せ、優しく包み込んだ。









『信じてもらえるように、頑張るね。』









独特な喋り口調と声。
親しみやすいキャラクターでたくさん友達がいて。
タラシで、かわいい女の子には目がなくて。

だけど仕事に対してはすごく真剣。
人一倍努力をして今の彼がある。
そして彼には仲間がいる。









『俺と付き合って。』









この度、そんな彼から
正式に交際を申し込まれました。

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作者名:∞くらゆい∞ | 作成日時:2017年10月4日 9時

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