第27話 大倉Side ページ27
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『もうそれ以上詮索せんといて。』
困った顔で、すみませんと謝るA。
『…ごめんね。』
何に謝ったの。と聞かれたら俺も困る。
『ちょっと変な話していい?』
「?…はい。」
『俺、プロポーズでさぁ
憧れるシチュエーションがあんねん。』
クス。と笑ってAは
はい。と頷き俺の話を聞く。
『結婚しようって俺がなかなか言わんくって、
シビレ切らした彼女が、
「ねぇ結婚しないの?」って言うてきて、
「いや結婚するでしょ」って俺が返すねん。』
「素敵だね。」
うふふ。と笑ってるだけのAに癒されて。
話することが楽しい。ちょっとずつでもいいから、
俺を知っていってほしい。
「…あたしも、…そんな憧れる未来が
できたらいいな。」
『ないの?』
「ありません。
…結婚に対して良いイメージがないから。」
『………。』
「すぐ変わるから。愛なんて。」
『………うん』
「愛されてると実感した月日が長ければ
長いほど、裏切られた日からそれより大きな憎しみに変わるから。」
こんなセリフ、想像だけで出ない。
彼女はそれをもう経験している。まだ若いのに。
いつ経験したんやろ。
「…大好きで、尊敬していた人だったんです。」
『うん、』
「憧れで、あたしの夢でした。優しくて、強くて
あたしを愛してくれて。あたしも…。けどその人はある日を境に変わってしまった。」
『……』
「その人は、その人自身も否定して
あたしの希望全てを粉々に砕いて、踏み潰した。」
小さく震えて、遠い目をしてる君。
当時の景色を思い出しているのか、時折
眉をひそめて。
『その人とは、どうなったの?』
「関係の修復は、できません。」
不意に見つめて「愛なんて生まれた瞬間から、無限になんて無い。」そう言ってキスをする。
−ピカッ…ピカッ…ピカッ
着信音を消している彼女の携帯に映し出された
着信相手。
"裕貴くん"
Aが気付いてないのをいいことに
携帯を伏せてさりげなくソファーの下に落とした。
『あっち行こ。』
頷くAの手を寝室まで引いて。
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作者名:∞くらゆい∞ | 作成日時:2017年10月4日 9時