追憶 ページ10
____夢を見た。
“夢”と分かる夢なんておかしな話だが。
私は見知った公園にいた。
ここは、昔マフィアから抜け出して時々訪れていた公園だった。
抜け出した後すぐに構成員のおぢさんにバレて連れ戻されたなぁ、なんて懐かしんでいると、金属の軋む音がし、その音の方へ視線を向けると先程まではいなかったはずの少女がブランコに佇んでいた。
その少女は明らかに遊びにここへ来たような雰囲気ではなく、ブランコをこぐことなくただそこに腰掛けていた。
少しだけ揺れるブランコの立てる音がなんとも物悲しく、いてもたってもいられなくなり声をかけようと歩み寄る。
けれど私の目の前を違う少女が横切りその子の元へと駆けていった。
私は足を止めた。待って、どういう事だ。
私の目の前を通り過ぎた少女は“わたし”だったのだ。
幼い頃の自分。
『ねえ、だいじょうぶ？』
“わたし”は少女に話しかけた。
『どうして？』
『だって、かなしそうなかおしてるんだもん、あなた』
『……』
少女はそう言われると俯いてしまった。
『ねぇ、いっしょにあそぼう！』
『え……？』
“わたし”は少女の頬を小さい手で包み込んで自身の方へ顔を向けさせた。
『いっしょにおはなのかんむりつくったら、きっとたのしいきもちになるよ！』
ね？ と“わたし”はその子の手を半ば強引に引いて公園の隅にあるシロツメクサのところへ向かう。
『でも……なつ、つくりかたわからない……』
『だいじょうぶ！ わたしがおしえてあげる！ ていうかなまえ、なつっていうのね』
『え、う、うん……』
『じゃあこれからなつってよぶね！』
『う、うん……』
『じゃあまずはね、シロツメクサを1つとって……』
それから彼女らはシロツメクサの冠を作り始めた。
一方私はというとこの光景の既視感に苛まれていた。
一連の会話を見て聞いて思い出した。私はあの子を知っている。
此処に遊びに行ったある日、なつちゃんという子がいて、“わたし”は彼女に話しかけて、それから時々此処に来ては一緒に遊ぶようになったんだ。
けど、いつから遊ばなくなったんだっけ……？
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ナナ(プロフ) - めっちゃ好き続き楽しみにしてます (2023年1月20日 18時) (
レス) @page31 id: cfbc850098 (このIDを非表示/違反報告)
んーゆ - 更新…まじで頑張ってください…この作品めっちゃ好き… (2022年3月19日 23時) (レス) @page31 id: 08da5454b1 (このIDを非表示/違反報告)
♪美桜♪ - 話の内容がすごくおもしろいです！これからもゆっくりでいいので、更新頑張ってください！ (2018年9月17日 14時) (レス) id: 951996096a (このIDを非表示/違反報告)
叶葉和音(プロフ) - 納豆さん» ご指摘ありがとうございます。今夜には訂正させて更新させて頂きます。宜しく御願い致します。 (2018年8月1日 0時) (レス) id: ebadb5acac (このIDを非表示/違反報告)
納豆(プロフ) - 頭領ではなく首領ですよ (2018年7月31日 12時) (レス) id: 427a625ea9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：叶葉和音 | 作成日時：2018年5月17日 23時
