悪者 ページ31
あぁ、Aさんと一緒にいるというのにクズの事を考えて一体私は何をやっているのだろうか。
「なんか一葉さんって時々そうやって考え事してる事多いですよね」
そりゃあそうですよ、貴方と一緒にいるんだから、貴方がどうすれば楽しいと思ってくれるかとか考えなければいけないですから。
なんて、言わないけれど。
「そうですか？」
笑えば彼女がそうですよと笑った。
やっぱり貴方は笑ってる顔が1番可愛いくて、綺麗で、素敵だ。その顔が好きなんです、大好きなんです。
「____一葉さん？」
気付けば私は彼女の頬に指を滑らせていた。
「えっ、あっ、すみませんっ、すみません…！」
私いつの間に彼女の頬を触って…っ！！
半ばテンパりながら彼女から離れた。
初めて触れた彼女の肌は微かにすべすべしていて、触り心地がよく、そして微かに熱を持っていた。
「大丈夫ですよ、だからそんなに謝らないでください」
楽しそうに小さく笑う彼女。その頬は少しだけ赤くなっている……ように見えた。いや、私の見間違いか。
「あ、そろそろですかね」
「え、あぁ、そうですね」
あっという間に分かれ道が来た。ここで彼女とはお別れだ。
時間とは早い……。もう終わりなのか。
「“また”会いましょうね」
その言葉が唯一の救いだった。
次があるのだ。また私と会ってくれるのだ、貴女と会えるのだ。
「はい、…では失礼します」
彼女に手を降れば返してくれる。ずっとこうしていたい。けれど貴方が私に背を向け歩いていくのは見たくないから、私はいつも貴方より先に貴方に背を向けるのだ。
それから私は家へと入っていった。
後ろ手に部屋のドアを閉め電気をつけずにそのままベッドに体を沈めた。
貴方に触れた指先が熱を持って、熱い。
「もう手洗えないよ……」
その手にすりすりと頬を擦り付けた。
「Aさん……Aさんっ……」
部屋に泣きそうな声が響く。
貴女を思うとどうしてだろう。
凄く幸せな気持ちになるのに、何故かとても胸が苦しくなるのです。
心臓を直接握られたみたいに苦しくなって酸欠になったみたいに何も考えられなくなって、まともな考えが出来なくなってくるんです。
時々貴女と関わる人を殺そうだなんて恐ろしく惨い事を考えてしまうんです。
貴女と居ると、理性が効かなくなってしまうんです。
____例えば……貴女の親代わりの男だとか、貴女が慕うあの女だとか。
続く
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ナナ(プロフ) - めっちゃ好き続き楽しみにしてます (2023年1月20日 18時) (
レス) @page31 id: cfbc850098 (このIDを非表示/違反報告)
んーゆ - 更新…まじで頑張ってください…この作品めっちゃ好き… (2022年3月19日 23時) (レス) @page31 id: 08da5454b1 (このIDを非表示/違反報告)
♪美桜♪ - 話の内容がすごくおもしろいです！これからもゆっくりでいいので、更新頑張ってください！ (2018年9月17日 14時) (レス) id: 951996096a (このIDを非表示/違反報告)
叶葉和音(プロフ) - 納豆さん» ご指摘ありがとうございます。今夜には訂正させて更新させて頂きます。宜しく御願い致します。 (2018年8月1日 0時) (レス) id: ebadb5acac (このIDを非表示/違反報告)
納豆(プロフ) - 頭領ではなく首領ですよ (2018年7月31日 12時) (レス) id: 427a625ea9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：叶葉和音 | 作成日時：2018年5月17日 23時
