検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:24,011 hit

敬語 ページ23

樋口さんはぎょっした顔を浮かべる。

「(人1)さん!?」

「あの、樋口さん。私には敬語を外して下さい。貴方は芥川……芥川遊撃隊隊長の補佐役とお見受けします。すぐに気づけず申し訳御座いませんでした」

「え! そうなの別にいいんですよ! 取り敢えず頭を上げてください」

「そんな、」

「人目もありますから!」

確かに此処はお店が点在していて夕方といえどまだ人が歩いていて、此方を好奇の目で見ていた。

私はやむなく立ち上がった。

「(人1)さん、私はそういう上下関係とか気にしませんし、それに(人1)さんの方が私より先にマフィアに入っていたのですから私の方こそ貴方に敬語を使うべきなのですよ」

「そんな……! 私に敬語など……」

「ふふ、だからそんな事は気にしなくていいんです。分かってくれました?」

「っ、はい」

そう言うと、

「あ、私の家この先なので」

そんなこんなで分かれ道に差し掛かった。

「あ、そうなんだ! じゃあさよなら、気をつけてね」

「はい、では」

一葉さんは軽くお辞儀をして身を翻した。

「……あの、今日はありがとう。一葉さんのお陰でとても楽しい休日になったよ」

「いえ、そんなことは」

此方を振り返った樋口さんが困ったように笑う。

「ううん、本当に楽しかった。……また、ね」


____刹那、辺りを強い風が吹き抜けた。


その風に髪を攫われる。風によって何処からか飛ばされてきた桜の花がふわりと宙を舞う。

その時樋口の息を呑んだ音は風に掻き消された。

「風強いね! 樋口さん早めに帰ってね。じゃあ」

私は彼女に背を向け帰路を歩いていった。

恍惚 ※付け足し→←帰路



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
67人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ナナ(プロフ) - めっちゃ好き続き楽しみにしてます (2023年1月20日 18時) (レス) @page31 id: cfbc850098 (このIDを非表示/違反報告)
んーゆ - 更新…まじで頑張ってください…この作品めっちゃ好き… (2022年3月19日 23時) (レス) @page31 id: 08da5454b1 (このIDを非表示/違反報告)
♪美桜♪ - 話の内容がすごくおもしろいです!これからもゆっくりでいいので、更新頑張ってください! (2018年9月17日 14時) (レス) id: 951996096a (このIDを非表示/違反報告)
叶葉和音(プロフ) - 納豆さん» ご指摘ありがとうございます。今夜には訂正させて更新させて頂きます。宜しく御願い致します。 (2018年8月1日 0時) (レス) id: ebadb5acac (このIDを非表示/違反報告)
納豆(プロフ) - 頭領ではなく首領ですよ (2018年7月31日 12時) (レス) id: 427a625ea9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:叶葉和音 | 作成日時:2018年5月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。